リーダーは、不安や疲労、ストレス、さらには体調不良を感じていても、常にポジティブなオーラを維持しなければならないというプレッシャーを感じていることが多い。しかし、どれほど楽観的な性格の人であっても、常にポジティブでいることを期待するのは非現実的だ。さらに言えば、それはリーダーの健康にも悪影響を及ぼす。
エムリヨン・ビジネススクールによる新たな研究によれば、職場で感情を装うことを強いられることが、リーダーの燃え尽き(バーンアウト)を引き起こしているという。この研究が警鐘を鳴らすのは「表層演技(surface acting)」の危険性だ。表層演技とは、仕事上の期待に合わせるために、本心では感じていない感情を示すことを指す。研究は、表層演技が「対人環境でうまく機能するために必要な資源そのものを奪い取る、科学的に実証された疲弊のループを生み出す」と主張する。その結果、「認知能力が低下し、真正性が失われ、チームの信頼が損なわれる。そうした影響は、将来においてリーダーシップを発揮することをより困難にする」という。
強がりを見せることには、リーダー自身とそのチーム、そして組織にとってもマイナス面があることは明らかだ。では、ポジティブさを装う代わりに、リーダーは自らのウェルビーイングを損なうことなく、効果的に他者を鼓舞するリーダーシップをどのように発揮できるのだろうか。
1. 心身に投資する
リーダーが燃え尽きるのは、単に仕事が厳しいからではない。成果を出すために、自分の身体が発する苦痛のサインを無視することを学んでしまった結果、燃え尽きるのである。人事エグゼクティブで『Anchored』の著者でもあるロシェル・トロウは、表層演技はしばしば、より深い習慣の症状だと考えている。すなわち、疲労困憊に至るずっと前から、身体や直感が発しているメッセージを手放してしまう習慣である。
「職場において、組織は成果を必要とするが、人間には回復が必要だ」と彼女は言う。「このパラドックスが、リーダーの安定感を静かに蝕み、表層演技を引き起こす。しかしリーダーが自分の健全性を優先する選択をするとき、自己成長を進めるだけでなく、内側から仕組みそのものを変えていくことにもなる」
回復を伴わないレジリエンスは、見せかけの消耗にすぎない、とトロウは述べる。彼女は、リーダーが心身を守り、投資するための余白をつくる必要があると主張する。「単発の取り組みであってはならず、燃え尽きの局面でだけ考えるものでもない」と彼女は説明する。「これは日々の実践だ。高まっていく圧力に早い段階で気づき、リスクを議論し、立ち止まる時間を組み込み、境界線を守る。単にサインをモニタリングする以上のことが求められる。リーダーが自分の価値観と自己とのつながりに根を下ろしている状態を確かなものにするのだ」
2. 迷いに対する認識を転換する
表層演技は、リーダーとはこうあるべきだという姿を「見せなければならない」という強いプレッシャーがあるときに起こりうる。「従来、私たちはリーダーに常に自信、確信、決断力を示すことを期待してきた」と、エグゼクティブコーチで『Brilliant Doubt』の著者でもあるジェニー・ウィリアムズは指摘する。「しかし、今日の不安定で複雑な世界では、これはもはや不可能であり、リーダーのウェルビーイングにとっても有益ではない」
最高レベルのリーダーでさえ、迷うことはある。「この迷いが弱さや隠すべきものと見なされるとき、リーダーは疲弊と燃え尽きへの道を歩むことになる」とウィリアムズは示唆する。「しかし、迷いを認め、それと向き合うとき、判断力は研ぎ澄まされ、思考は深まり、意思決定の質は向上する。迷いは負債ではなく、リーダーシップの資産となるのだ」
迷いが生じたとき、リーダーはそれを麻痺させるものではなく、情報源として積極的に向き合うべきだとウィリアムズは言う。彼女は、リーダーが何に気づいているのかを明らかにし、迷いが何を示唆しているかに耳を傾け、前に進む決断をする前にその妥当性を検証するための質問をすることを勧めている。
「リーダーはすべての答えを持っていなければならないという考えを転換することが極めて重要だ」とウィリアムズは強調する。「迷いと向き合うための余地を作る必要がある。それは個人レベルだけでなく、チームやシステム全体においてもだ。迷いは多くの場合、何かが注意や対話、変化を必要としているというサインだ。私たちが問いを投げかけるときにこそ、現状を変えることができるのだ」
3. 外部の支援を求める
リーダーは、特に組織内で非常に上位の役職にある場合、孤独や孤立を感じがちだ。立場上、心配事や恐れ、さらには下さねばならない難しい判断について、安心して私的に話せる心理的安全性のある場を見つけるのは難しいことがある。
外部の「壁打ち相手」は、客観的な視点を持つ人に対して課題を自由に率直に語りたいリーダーにとって、非常に価値のある支えとなりうる。加えて、組織外の人と話すことは、リーダーが「取り繕う」プレッシャーを和らげる。リーダーはただ、ありのままの自分でいられるのだ。良い壁打ち相手としては、メンター、前任の上司、同様の役割にいる同業の仲間、あるいは単に信頼できる友人が挙げられる。
コーチもまた、リーダーが信頼、文化、つながりを形づくる行動を真に体現できるよう、自己成長を支援することができる。コーチは、自己認識、レジリエンス、感情的知性を高めるための意図的な実践についてリーダーと取り組むことができ、それが燃え尽きからの保護につながる。
「コーチと協働することは、自分自身や他者とのより深い感情的なつながりを求めるリーダーにとって、強力なツールだ」と、研究者でありエグゼクティブコーチ、『The Power of the Learning Mindset』の著者でもあるリリアン・アジャイ・オレ博士は言う。「最も影響力のあるリーダーは、自分のエネルギーが完全に枯渇する前に、外部の支援を取り入れるタイミングを心得ている」
不確実な世界で「前向き」を装うこと
変化の速いビジネス環境において、リーダーにかかる圧力は甚大だ。重い業務負荷を抱えながら、続く不確実性と変動性を乗り越えなければならず、分断したチームを率いている場合もある。問題の解決策を見出す一助となるのはリーダーの責務だが、常にポジティブさを装っていては健康を損なうおそれがある。さらに、周囲が本物ではないと感じ取れば、チームからの信頼を失うかもしれない。
エムリヨンの研究は、リーダーが消耗した感情エネルギーを補充することで、表層演技のサイクルを断ち切れることを示している。そのためには、要求水準を下げ、仕事から距離を取る必要がある。エムリヨン・ビジネススクールの経営学教授ゴードン・セイヤーはこう述べる。「感情的な回復の瞬間を組み込むことで、リーダーは表層演技から、より真正な感情的関与へと移行しやすくなる。負荷を軽減し、信頼を強め、消耗が定着するのを防ぐのだ」



