ただ、イランは、指導部や複数の軍指導者が排除され、脳と神経が破壊された中で手足が意思を持ったかのような非対称戦に力を入れている。正面からの戦闘で米国とイスラエルに勝てる見込みはない。自分が得意とする戦術で対抗するしかない。典型的な例がドローンによる攻撃とホルムズ海峡の封鎖だ。米軍とイスラエル軍はドローンの生産拠点などを叩き、イランによるドローンの出撃回数も減っている。ただ、米紙ウォールストリート・ジャーナルは17日、ロシアがイランにドローンの部品を提供していると伝えた。米軍とイスラエル軍は迎撃用の対空ミサイルが底をつく可能性が出てきたため、在韓米軍の高高度ミサイル防衛システム「THAAD」やパトリオット地対空誘導弾を転用する動きを見せている。
ホルムズ海峡の封鎖はもっとやっかいだ。米軍はイラン海軍の艦艇を片端から破壊している。ただ、イランが保有する機雷は2千個とも6千個とも言われる。小型船や小型潜水艇でも機雷を敷設することができるうえ、ホルムズ海峡近くの海岸線は岩による遮蔽物が多く、完全に脅威を取り除くまでには至っていない。また、米外交政策研究所のエマ・ソールズベリー博士によれば、米軍は過去、地味な機雷掃海能力の維持・発展をおろそかにしてきた。北大西洋条約機構(NATO)同盟国に機雷掃海作戦を任せてきたため、「万が一、機雷を敷設されてもすぐに掃海できる」という状態ではないという。
こうなると、米国とイスラエルにとっての勝利とは「イランがホルムズ海峡で機雷を敷設する能力を根絶した時」になる。現実にその目算は立っていない。ヘグセス米国防長官が19日、イランに対する攻撃の明確な期限を設けるつもりはないと述べたのも、あながちウソではないだろう。逆に、31MEUなどの地上兵力が展開し、作戦目標が戦力重心から、これらの非対称戦が無限に存在する目標への対応に終始せざるを得なくなった時、撤収の時期を探る必要が出てくる。より、「戦争の勝利」をうたうことが難しい状況になるだろう。
割を食っているのは、中東に米軍兵力を取られて抑止力が下がっている日本や韓国だと言えるだろう。


