米国メディアなどは、米海軍の強襲揚陸艦トリポリ(母港・長崎県佐世保市)が、軍事作戦に参加するためイランに向かっていると伝えている。トリポリに乗艦しているのは海兵隊の即応性が高い「危機対応部隊」とされる、沖縄県を拠点とする第31海兵遠征部隊(31MEU)と伝えられている。
陸上自衛隊の第1空挺団長を務め、米海兵隊指揮幕僚大学を卒業した岩村公史元陸将はトリポリについて「水陸両用車を搭載していない、海兵隊の新しい作戦構想を具現化した揚陸艦だ」と語る。かつてのノルマンディー上陸作戦のように、海上から攻撃するという概念を捨てた。代わりに、トリポリから垂直離着陸が可能な輸送機オスプレイやステルス戦闘機F35Bなどで「遠征前進基地作戦(EABO)」を具現化し、空中から攻撃する新しい用構想を実現させる艦」(岩村氏)だという。
31MEUは地上戦闘力、航空戦力、後方支援能力を単独で完結できる「小規模統合的作戦部隊」として機能するように設計されている。かつて朝鮮半島有事の際、ヘリコプターなどに飛び乗り、佐世保から出航した強襲揚陸艦に着艦して半島に殴り込みをかける部隊だと位置づけられていた。最近は中国を念頭にした部隊編成や演習を行っているものの、敵が優勢な地域に飛び込んで妨害や拠点確保、情報収集などを行うという厳しい役割は変わっていない。いずれも精鋭中の精鋭だと言えるだろう。
岩村氏はトリポリや31MEUに与えられる役割について、作戦の戦力重心(Center of Gravity)となり得る目標を達成するために使用されとみる。そのうえで「(1)(イランの原油輸出の心臓部である)カーグ島を占領してイランの戦争資金源を断つ、(2)ホルムズ海峡のイラン側の要点を確保して船舶へのドローン(無人機)やミサイルなどの攻撃を阻止する、(3)イラクの核施設から安全に濃縮ウランを搬出する」といった運用を予測する。同時に、岩村氏は今回の米国の作戦について「AI(人工知能)を使った情報分析などが大きな特徴で、指揮官の判断に必要な膨大な情報をAIで分析し目標の選定、効率的な攻撃などを早いテンポで補佐し、大きな成果を上げている。AIを取り込んだ戦争だ。」とも指摘する。トリポリや31MEUもきっと期待された戦果を上げるだろう。



