こうした攻撃がすぐに戦場での突破につながることはめったにないものの、ロシア側に防空システムを前線から移動させることを強いる可能性はある。また、比較的安価なドローンの群れがロシアの防空網を次第に侵食していき、フラミンゴのようなミサイルによるより重量級の攻撃に道を開くことも考えられる。このようにドローンとミサイルを組み合わせることで、ウクライナはロシアの軍事インフラや産業インフラに対する攻撃を拡大できるかもしれない。
米シンクタンク、ハドソン研究所のシニアフェロー、ルーク・コフィーは筆者の取材にこうコメントした。「現代にウクライナが無人システムの能力を向上させてきたことで、(ロシアの国土の)この広大さはむしろ脆弱性になっています。単純に言って、ロシアはすべての場所を防御するための装備も能力も欠いています」
ウクライナは組み立ての簡素化や大量生産を前提に設計されたFP-1など、長距離ドローンをほかにも導入している。ウクライナのメーカーは、より重量級の攻撃ドローンも試験している。たとえば、ファイア・ポイントの新型ドローンであるFP-2は100kg強の弾頭を搭載する。ただし、トレードオフで航続距離は短くなっており、前線攻撃用として有効到達距離は200km程度にとどまるとされる。
技術の進化にともない、戦争のコストは引き続き低下していくのかもしれない。ザルジニーは2025年11月にウクライナメディアに寄稿した論考で、技術シフトは戦略的な力学を予想外の形で変えていく可能性があると指摘している。「技術の進歩より、戦争のコストは下がってきている」とザルジニーは述べたうえで、「奇妙に聞こえるかもしれないが、これはいずれロシア自身も(ウクライナが求めているのと)同じような『安全の保証』を必要とするような状況を生み出すかもしれない」との見解を示している。
現在みられるような傾向が続けば、敵陣後方への縦深打撃は現代戦を特徴づける非対称性のひとつになる可能性がある。


