ウクライナのドローンはますます遠方の目標に到達するようになっている。2026年2月、ウクライナからおよそ1700km離れたロシア北部ウフタにあるルクオイルの製油所に対する長距離攻撃が行われた。これは、確認されている限りこの戦争で最も長距離のドローン攻撃だったとみられる。
ウクライナに装備提供などの支援を行っている米国の慈善団体ディグニタース・ユークレインのリュバ・シポビッチ最高経営責任者(CEO)も筆者のインタビューで、ウクライナにとって「長距離打撃能力は最優先事項のひとつ」になっていると話した。「大統領は縦深打撃や中距離ドローンを増やす必要性を強調しています。縦深打撃では空港や港湾、ドローン工場を狙い、中距離ドローンでは倉庫や兵站拠点を攻撃します」
ロシアの防空網を圧倒する
この戦争で、何かひとつの兵器が「ゲームチェンジャー」になるとは考えにくい。一方で、これまでドローン戦でみられてきた急速なイノベーションサイクルが、ここへきてミサイル分野にも現れ始めているのは確かだ。生産量が増え、コストが低下するにつれて、ロシアの防空システムはより多くの飛来物への対処を強いられ、さらに圧迫される可能性がある。
フラミンゴのようなミサイルには、ドローンよりも有利な点がいくつかある。長距離ドローンの飛行速度は一般に時速250〜350kmだが、アナリストによるとフラミンゴは時速約1000km、弾頭重量は多くの長距離攻撃ドローンのおよそ10倍にあたる1100kg超とされる。そのためロシアの防空システムによる迎撃の難易度は大幅に上がる。
ウクライナ陸軍第63独立機械化旅団無人システム大隊の副隊長、コールサイン「ババイ」は筆者のインタビューで「十分な数の弾道ミサイルがあれば、わたしたちははるかに大きな損害を与えることができます」と述べた。
防空手段には経済性の面でも変化がみられる。ウクライナ軍の前総司令官ワレリー・ザルジニー駐英大使は2025年4月、英ウクライナ防衛テックフォーラムで行った講演で「防空はおそらく最大の変革を迎えています」と語った。「安価な小型ドローンが多数投入されるようになったため、防空システムできわめて高価なミサイルを使用するのは経済的に成り立たなくなっています」


