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2026.03.31 11:00

AIブームの"その先"へ――社会実装がもたらした新たな課題に挑む3社

2022年のChatGPTのローンチ以降、生成AIは急速に社会へ浸透した。しかしブームが一巡した今、新たな課題が顕在化している。「AIを使える人」と「使えない人」の格差、専門知識の民主化がもたらした想定外の壁、深刻化するAI人材不足――。

リーガルテック、IT教育、広報という異なる領域から、この課題に挑むのがGVA TECH、Ms.Engineer、Cheersの3社だ。彼らが描く未来に、AIと人間が共生する社会の具体的な姿が見える。


専門職の民主化が進んだその先の「壁」

「法とすべての活動の垣根をなくす」をパーパスに掲げる、リーガルテック企業のGVA TECH。代表の山本俊は弁護士として1,000社以上を支援する中で、企業法務の難しさに悩む担当者の多さに気づき、2017年に同社を創業。24年には東証グロース市場へ上場した。

事業は、大企業法務向けの「OLGA」、中小企業向けに法的手続きの支援をする「GVA法人登記」「GVA商標登録」、そして法律事務所向けの「AI書面作成」「生成AIネイティブ契約書レビュー」の3本柱だ。

OLGAはAI契約レビュー・案件管理・契約管理を統合し、メールからExcelへの転記、契約書のバージョン管理といった煩雑な作業をゼロにした。コンプライアンス意識の高まりで企業の法務案件は大幅に増加しており、「多くの企業は法務担当のリソースが足りず、『リーガルテックがなければ現場は崩壊していた』と感謝されることも多い」と山本は語る。

AI活用の有無は今後ますます企業間格差を生む。導入企業は煩雑な業務をAIに委ね、人間は予防・戦略法務へシフトする一方、未導入企業は業務過多で悪循環に陥る。そのため山本は「企業法務についてはAIの導入・定着が当面課題になり続ける」との見通しを示す。

弁護士・法律事務所向けの生成AIネイティブなプロダクト「AI書面作成」は、訴状や準備書面等の訴訟対応で必要な書面の作成を支援する。証拠分析、主張構築、書面化といった弁護士の思考プロセスを段階的に再現する設計だ。汎用的な生成AIより誤認を防ぎ、論理構築の効率を高める。

ここでも重要になるのは、AIと人間の役割分担だ。

GVA TECH 代表取締役 山本 俊
GVA TECH 代表取締役 山本 俊

「手続き的・法的に間違いのないアウトプットはAIが十分に遂行できます。しかし感情が絡む和解交渉などの判断は人間が価値を発揮します」

経験豊富な弁護士がクライアントの真の利益を考え説得するプロセスは、AIには代替できない。

しかし生成AIの普及は新たな課題も生んでいる。依頼者がChatGPTで調べた"存在しない判例"を根拠に主張してくるケースが急増した。

「AIがユーザーに迎合し、都合のいいウソ(ハルシネーション)を生成する。それを信じて頑なになってしまいがちな依頼者の『思い込み』を解く必要がある」

この課題への解としてGVA TECHが取り組み始めたのが、弁護士コミュニティの組成だ。セミナーでは生成AIを活用した訴状作成、契約チェック、破産申立書自動作成など、基礎から応用までの事例を実演形式で共有。実務家の知見を集約することで、裾野となる依頼者が受けるサービスの質と量を向上させるのが目的だ。

「法曹界は保守的な側面があり、まだAIの活用に懐疑的な人も少なくありません。ただ、生成AIは業界を変える可能性を秘めた技術。コミュニティを通じてAI活用の底上げを図りたい」

山本の根底にあるのは「誰も取り残さない」という信念だ。専門家と利用者をつなぎ、正しい知識を普及させることで、「法との垣根がない世界」の実現を目指している。

地方からAI女性人材を輩出

AI活用が進む中で深刻化するもう一つの課題が「AI人材不足」だ。経産省の統計によれば、日本では中期的に300万人以上のAI人材が不足すると見られている。

この課題に独自の角度から挑むのが、IT・AIスクールを運営するMs.Engineerだ。代表のやまざきひとみは、同社の特長である「女性向け」「地方」という点に可能性を感じている。

同社の講座の受講者は7割以上が地方在住の女性だ。地方の女性の労働人口は2,000万人とも推測されているが、事務職偏在によりAI代替リスクが高い。そのうえ、ジェンダー・賃金格差により、苦しい立場にある。やまざきは「地方女性のAI人材化が、人材不足と格差という構造課題の解決策になる」と話す。

Ms.Engineer 代表取締役 CEO やまざきひとみ
Ms.Engineer 代表取締役 CEO やまざきひとみ

Ms.Engineerは経産省・厚労省の認可を受けた日本で唯一の女性向け高度IT・AI人材育成講座だ。平均8カ月の学習を通じてAIを実装できる人材を育成する。

その特徴は「AIスキル」「ソフトウェア開発の基礎」「ビジネスメタスキル」の三本柱だ。オンライン授業ではあるがビデオオフは禁止、授業中に必ず回答者として当てられるインタラクティブな運営で、遠隔ではあっても臨場感を与える。

なにより、やまざきが「決して簡単ではない」と評する高度なプログラムによって、ビジネスやAI活用の場で出会う、「正解がない問い」に向き合う経験を積ませ、変化対応力とビジネスにおける自立心を鍛える。成果は明確だ。卒業生の83%がリモートワーク可能な職を得て、年収100万円以上の上昇を果たした卒業生も珍しくない。受講者の4割以上がバックオフィス経験者で、業務理解に基づく課題抽出とAI実装が得意なケースも多いという。

「AIによる代替対象とされてきた業務に従事していた人が、逆にAI運用・改善の推進人材へ転じる可能性があります」

卒業生のAIハッカソンでは、豪雪地域の除雪課題、育児・介護、防災など、地域固有の課題へのAI実装アイデアが次々と生まれている。

「地域課題の解像度が高い人がAIスキルを得ることで、AIの実装スピードと適切な活用が加速し、それが日本全国に広がっていく。それは非常に大きな社会的インパクトになると信じています」

Ms.Engineerが目指すのは、東京一極集中の構造に対し、地方女性のデジタル人材化で全国的なAI実装を加速させることだ。

広報を通じて、AIで実現できる「未来」を届ける

良いプロダクトを作れば自然と広まる――そんな時代は終わった。特にAIスタートアップにとって、「伝える」ことは事業成長を左右する重要な要素だ。

Cheers代表・熊本薫は、GVA TECH、Ms.Engineerを含む150社以上のスタートアップ広報を支援してきた。

「AIスタートアップの最大の課題は、まだ社会に存在しない未来を説明することです」

AI広報に求められるのは、技術の説明ではない。AIが実装された社会を言語化し、生活者の視点で伝えることだ。

例えばMs.Engineerなら、「AI人材を輩出する企業」ではなく、「AIスキルによってリモートワークが可能になり、収入が増える未来」を伝える。

GVA TECHなら、サービスの機能ではなく、山本の「誰一人取り残さない」という思いから目指すべきステージにおける現フェーズと、その実現に向けた現在地を示す。

もうひとつ重視するのは、AIが生む「希望」と「不安」の両面に向き合うことだ。

「AIが社会を便利にすると語るほど、自分の仕事や役割が変わってしまうのではないかという不安も同時に生まれます。だからこそ、AIの透明性、活用するための倫理観など、社会との対話を続けていく必要があります」

Cheers 代表 熊本 薫
Cheers 代表 熊本 薫

社会がAIを信頼しなければ広がらない。技術の進化と社会の理解をつなぐ――それが熊本の語る、広報の役割だ。

異なる領域から、同じ未来を目指す

一見バラバラに見える3社だが、目指す未来は共通している。

GVA TECHはコミュニティを組成し誰もが法務の恩恵を受けられる社会を、Ms.Engineerは地方女性のデジタル人材化で地域課題の解決を、Cheersは挑戦を社会に届け信頼を築くことでAIの恩恵が広く行き渡る未来を目指す。

AIブームが一巡した今、真に問われるのは技術の進化ではない。その技術を「誰が使えるのか」「どう伝えるのか」「どう信頼を築くのか」――そうした社会実装の質が次の時代を決める。

3社が示すのは、AIの民主化・専門領域の民主化だけでは終わらない、人間中心のAI社会の姿だ。AIと共生する未来は、こうした地道な取り組みの先にある。

Cheers
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