「インデックスに勝つパフォーマンス」を続けてきた投資の実践

左からピーター・リンチ、阿部修平、ウォーレン・バフェット

「投資家・阿部修平」を形作ったもの

藤吉:面白いですね。やっぱり「型」というか「作法」があるんですね。例えばウォーレン・バフェットは「私は85%がベンジャミン・グレアム(「バリュー投資の父」と言われる投資家)、15%がフィリップ・フィッシャー(成長株投資の先駆者とされる投資家)だ」という言葉で投資家としての自分の「型」を語っていますよね。それで言うと、投資家としての阿部さんを形作ったのは誰なんでしょうか。

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阿部:今でも有難かったなと思うのは、アメリカ時代にピーター・リンチ(アメリカの伝説的なファンドマネジャー。1977〜1990年にフィデリティ・マゼラン・ファンドを運用し、年率約29%という驚異的な成績を残したことで知られる)からバリュー投資の何たるかを直接学んだということですよね。彼は僕が野村にいた頃の顧客だったんですが、オフィスに行くと、ホワイトボードを使って「シュー、こういう企業の株を見つけてくるんだ」と”講義”してくれるんですよ。

藤吉:それはすごすぎます(笑)。イチロー選手や大谷翔平選手に、野球のやり方を教えてもらうようなものです。

阿部:しかも、すごい早口でね。バフェットさんもそうだけど、アメリカ人の天才型のひとつのタイプなんですよね。考える速度で話をする。リンチはいつもお昼に連れて行ってくれるんだけど、こっちが理解していようといまいとお構いなしで喋りまくって、喋り終わると「オッケー」とか言って、すぐ帰っちゃうんだ(笑)。

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藤吉:ああ、いますね、そういうタイプの方(笑)。

峰松:こういう話を社員たちにしてもらっているんです。

「世界を豊かに、健やかに、そして幸せにする」

藤吉:それにしても阿部さんやソロスさん、リンチさんもそうだと思いますが、自分が「いける」と思ったものに大きくベットできる「胆力」がすごいですよね。

阿部:ソロスさんも事前によく調べるんですが、最終的に決断する前が面白いんです。バブルに突入する前の日本にベットするときは、私を連れて日本に行って、大蔵省の官僚とか日銀のアナリストとかに会うんです。といってもインサイダーの情報をとろうというんじゃなくて、「現場」の彼らが何を考えているのかを、ものすごく一生懸命聞く。「現場」を通じて、オーソリティの意思を確認しようとする。そこで自分の満足のいく感触を得られたとき、初めて大きくベットするんです。

藤吉:とにかく「人」に会うことが大事なんですね。

阿部:そうですね。僕はこれまでたくさんの投資家や経営者にも会ってきましたが、その人がどういう環境で育ち、どういう経歴を歩んできたのかということに一時期、すごく興味があったんです。要は「その人の作られ方」ですよね。

そういう意味では「人」に対する興味というのが、投資家としての僕のベースを作っているし、それはスパークスの投資に対する考え方にも引き継がれています。

藤吉:お話をうかがっていると、そういった阿部さん自身の〝物語〟がスパークスのチームカラーを作り上げていることがよくわかります。

阿部:私たちの会社は「世界を豊かに、健やかに、そして幸せにする」というパーパス(企業理念)を掲げています。投資の会社がなぜ、と思われるかもしれませんが、投資を通じて世界の富を最適な場所に分配することで、世界を幸せにできると我々は信じています。その世界を実現するためには自らが起業家としての精神を持ち、自由に発想し続けることが不可欠です。起業家精神を持って世界を導いていく自由な投資家の集団ーーそれが僕が考えるスパークスのあるべき未来像なんです。


みねまつ・ひろし◎スパークス・グループ株式会社取締役、グループ上席執行役員、グループCFO/スパークス・アセット・マネジメント株式会社取締役、CFO。
朝日監査法人(現あずさ監査法人)を経て、2001年公認会計士登録。2005年スパークス・アセット・マネジメント投信株式会社(現スパークス・グループ株式会社)入社。

text by Hidenori Ito

連載

市場の波に乗る12の視点 スパークス代表・阿部修平×Forbes JAPAN 編集長・藤吉雅春

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