「これまでに数百人とフランス料理会食した」という食の達人であり著名フーディー、レストラン紹介メディア「タケマシュラン」主宰のタケマシュラン氏。食べログフォロワー数は2万人に迫り、紹介した店は「即日予約が取れなくなる」とも言われるほどの、恐るべき影響力を持つグルメインフルエンサーだ。
料理のおいしさのみならず店の雰囲気、サービス、哲学などをオールラウンドに見る氏の辛口グルメレビューは絶妙なユーモアと皮肉にくるんだ容赦ない舌鋒に定評があり、絶大なファン層の厚さを誇る。
Forbes JAPANでは、書き下ろし寄稿で氏の哲学思想を紹介していく。好評を博した前回の「ご馳走される会食」のマナー。事前・注文・会計時・お礼・事後までの基本動作 に続き、今回は「店でのワインの選び方」について。読者諸兄はそれぞれの美意識、経験に照らしつつ、参考にしていただきたい。
泡は「無難」、しかし「ベスト」に非ず
今回はフレンチやイタリアンなど、欧米系のレストランにおけるワインの選び方について考えていきましょう。
本稿はあくまでかなりの初心者向けのガイドです。プロや愛好家の方々から見れば、もしかすると「それは乱暴すぎるのでは?」と眉をひそめられる記述があるかもしれません。しかし、ここは難しい専門議論を戦わせる場ではなく、まずは皆さんにレストランを気楽に楽しんでいただくための場所。その点、あらかじめ言い訳としてご承知おきいただければ幸いです。
さて、席に着くとソムリエから「最初のお飲み物はいかがいたしましょうか?」と問いかけられます 。以前公開した 【秘伝まとめ】高級レストランで「一流の客」と囁かれるマナー52という記事では「食前酒はシャンパーニュが無難」とお伝えしました。しかし、これはあくまで「無難」なだけで、必ずしも「ベストな選択」とは限らないのが面白いところです。なぜなら、グラスで提供されるシャンパーニュは、往々にしてかなり強気な価格設定(つまり割高)になっていることが多いからです。
というのも、シャンパーニュは抜栓した瞬間からガスが抜け始め、刻一刻と品質が落ちていく足の早い飲み物だからです。客入りの悪い日には、出しきれず廃棄せざるを得ないリスクが常に付きまといます。お店側はそのリスク分を価格に転嫁せざるを得ず、どうしても割高な設定にならざるを得ないのです。さらに、客側の心理も影響しています。「乾杯はやっぱり泡でしょ」「今日はお祝いだし」と、特別感を理由に財布の紐が緩みやすいアイテムであることも、価格を押し上げる要因のひとつ。業界内では「グラス1杯の価格≒そのボトル1本の仕入れ価格」と主張する人がいるほどです。



