この店は「6杯取り」か「5杯取り」か?
余談ですが、グラスワイン 1杯あたりの量は店によってまちまちです。一般的には「6杯取り(1 本のボトルから6杯分、約120ml を注ぐ)」とする店が多いですが、アメリカ系のステーキハウスなどでは「5杯取り(約150ml)」と、たっぷり注いでくれる場合もあります。
また、定休日の前夜であれば「ここから数日はもちそうにないなあ、それじゃあサービスしちゃおう」と、規定外になみなみ注いでくれる嬉しいサプライズが生じることもあります。そのため、メニューの価格だけを見て、その値付けが妥当かどうかを判断するのは意外と難しいのです。
私クラスの吝嗇家ともなれば、入店と同時にサッと周囲のテーブルを見渡し、「なるほど、この店は5杯取りか。ならば、この銘柄でグラス2400円はむしろ割安だな。でもシャンパーニュは馬鹿みたいに高いな。よし、それじゃあまずはビールを1杯、その後はグラスで白・赤と繋いでフィニッシュしよう」といった計算が瞬時に成り立ちます。もっとも、こうした露骨な値踏みは確実にお店側から嫌われるので、皆様は決して真似をせず、あくまで知識として留めておくのが賢明でしょう。
グラスワインを注文する際は、ソムリエに対してシンプルに「この料理に合うものを 1杯お願いします」と伝えるだけで十分です。まともなソムリエであれば、「本日ご用意しているのはコチラとコチラとコチラで、コチラのワインはこうした特徴があるので、このお料理に合わせるならコチラをご提案します」といった具合に、論理的な裏付けを持って説明してくれるはずです。
ここで注意すべきは、「お客様のお好みは?」「普段はどのようなものを?」と、こちらの問いかけに対して、どこか的外れな逆質問を繰り返してくるタイプ。はっきり言って、こうしたソムリエはFランの三流と言わざるを得ません。もしそんな相手に当たってしまったら、遠慮なく用意されているグラスワインのそれぞれの味わいについて詳しく説明を求めましょう。その説明内容から最もしっくりくるものを自力で選ぶのが賢明です。「質問攻めにするのは悪いのではないか?」と臆する必要は微塵もありません。我々はそのための対価として 10~15%という決して安くないサービス料を支払っているのですから。
食前酒とグラスワインの話だけで、随分と⾧くなってしまいました。次回はいよいよ、成功も失敗もすべて自分の手で掴み取りたいという好奇心あふれる貴方のためのステップアップ編。あの少し気後れしてしまうワインリストをどう読み解き、自分の感性でボトルを選んでいくか。そのちょっとしたコツについて、お話ししたいと思います。


