食&酒

2026.04.02 14:15

泡は「グラス1杯≒ボトル1本の仕入れ値」? 知恵者は外食でワインをこう選ぶ

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無難なはずのワイン・ペアリングには「予期せぬ事故」も?!

以前の記事では、「ワイン・ペアリングが無難」と記しました。ひと皿ごとに最適な1杯が提供され、何より総額の予算が読みやすい。ソムリエとの小難しいやり取りも不要で、初心者にはこれ以上ないほど有り難いシステムです。

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しかしながら、ペアリングという選択が常に正解かといえば、そうとも言い切れません。というのも、ソムリエの中には「何かサプライズを演出しなければ」「意外性のある組み合わせを提案しなければ」という、ある種の強迫観念に駆られている人が少なくなく、その結果、食事の途中に無駄に甘ったるい日本酒や茶褐色に濁ったクセの強い自然派ワイン、さらには変な葉っぱの浮いた謎のカクテルなどが差し込まれるという、予期せぬ事故に見舞われるリスクがあるからです。加えてペアリング全体としての総量が少ないことも多く、ちょっとの量をあれこれ飲み過ぎて、「結局、何が何だか分からなかった」と記憶が霧散してしまうこともしばしば。

蛇足ですが、初心者ほど「少しずつ色々な種類」を試したがるのに対し、上級者ほど「これぞという1本」をボトルでじっくり堪能したがる傾向があるのも、こうした理由からかもしれません。1本のワインが持つ表情の変化を、時間をかけてじっくりと追いかける。それこそがワインを楽しむことの本懐なのでしょう。

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傾向として、シェフ自身がソムリエ呼称資格を保有し、ドリンクプログラムの構成にまで深く関与している店のペアリングにはハズレが少ないものです。もちろん、シェフの資格の有無に関わらず、ソムリエが料理の意図をきちんと汲み取って構成を練り上げている店も存在します。一方で、残念ながら「売上が期待できるから」というオーナー側の意向が優先され、決められた利益率の範囲内で事務的に組み立てられているケースも少なくありません。訪れる店がどちらのスタンスなのか。それは、ネット上の口コミを精査すればおぼろげながら浮かび上がってきます。コツは「ワインに詳しそうな投稿者が、ペアリングの内容を具体的に(あるいは熱量を持って)褒めているか」をチェックすること。じっくりと予習をしてから店を訪れましょう。ワイン選びという贅沢な時間は、実は入店する前から既に始まっているのです。

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「ボトルやペアリングを頼むほど量は飲めない」、あるいは「ワインにそこまで予算は割けないけれど、それなりに格好はつけたい」。そんな場合は、迷わずグラスワインを注文しましょう。

先に「グラスのシャンパーニュは割高」と書きましたが、スティルワイン(泡のない、普通の赤・白ワイン)については、そこまで極端な値付けをされることは稀です。というのも、これらはスパークリングに比べて日持ちがしやすく、ペアリングの構成要素としても重宝されるためです。ボトル注文の隙間を埋めるアイテムとして一定の回転率が見込めることから、お店側もバランスの取れた定番品を適正価格で用意していることが多い。そのため、大ハズレを引くリスクは極めて低いと言えます。もっとも、その安定感ゆえに、驚くような「一生モノの大当たり」に出会うこともまた少ないのですが。

ごく稀に、超高級ワインを「コラヴァン(抜栓せずに注げる特殊な器具)」などの特殊なツールを駆使し、グラス1杯数万円で提供するような尖った店も存在します。しかし、そうした独特の芸風を持つ店は事前にネットで調べれば一目瞭然。やはりここでも事前の学習がモノを言います。そもそも本稿を熱心に読み進めてくださっているような良識ある初心者の皆さんは、間違っても最初からそんな修羅の如き店に特攻すべきではありません。

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