ボトルは「仕入れ値の3倍」程度
一方で、ボトルの注文であればお店側に廃棄リスクはありません(厳密にはブショネなどの不良品リスクがありますが、泡のブショネは客にバレにくく押し通し易い、いや、ここでは一旦置いておきましょう)。そのため、価格設定は「仕入れ値の3倍程度」に収まるのが一般的。もし、ある程度の量を飲むつもりであれば、最初からボトルで頼んでしまったほうが結果的に安上がりで質の高いワインにありつけることが多いのです。もっとも、この仕組みを逆手に取り、グラスのシャンパーニュをあえて安く設定して注文を回し、鮮度と利益を両立させている良心的な店もありますが、それは例外と言えるでしょう。
ところで、シャンパーニュは他のワインに比べてハズレが極めて少ない飲み物です。その厳格な定義については専門書に譲りますが、「シャンパーニュ」の名を冠するためには非常に厳しい規制をクリアしなければなりません。その結果、たとえリストの中で一番手頃なボトルであっても一定以上のクオリティが担保されており、「そこそこ美味しい」ことが多いのです。いわば味の下限が高いと言えるでしょう。もちろん、他の国や地域のスパークリングワインにも、シャンパーニュの高級品に肉薄する名品は存在します。しかし、そうしたシャンパーニュ超えを狙う銘柄は、得てして価格もそれなりに高価。同じ価格帯で比較するならば、やはり本場シャンパーニュの方が質において勝っていることがほとんどです。
確かにシャンパーニュ自体の単価は決して安くはありません。しかし、特殊な銘柄でない限り、どんな料理にも寄り添ってくれる万能選手でもあります。何を頼めばいいか分からないと迷ったとき、割り切ってその店で一番安いシャンパーニュをボトルで注文するというのは、なかなか悪くない戦略と言えるかもしれません。私の場合、アルコールにそれほど強くない方と食事を共にする際は、まずシャンパーニュを 1 本通しで楽しみ、メインの肉料理の時だけ赤のグラスワインを追加する、といった頼み方をよくします。これなら、最初から最後までハズレのない、満足度の高い食事を楽しめるからです。
とはいえ、「そんなに泡ばかり飲むとお腹がいっぱいになってしまう」「変化がなくてつまらない」「せっかくなら色々試したい」という欲張りな貴方のために、その先のワイン選びについても踏み込んでみましょう。


