スポーツ

2026.03.24 12:00

「大谷効果」ドジャースはスポンサー収入も好調、MLB球団評価額ランキング2026年版

(Photo by Brandon Sloter/Getty Images)

サラリーキャップ制度の導入、選手会の暫定事務局長は「ロックアウトはほぼ確実だ」

MLBは難航が予想される労使交渉にも直面している。12月に選手会との労使協定が期限を迎えるのに合わせ、球団オーナー側は何らかのサラリーキャップ制度(報酬の上限規定)の導入を求める見通しで、選手会の暫定事務局長は「ロックアウトはほぼ確実だ」との見方を示している。現行制度では、選手年俸の総額に上限はないが、チームの年俸総額が規定額を超えると課徴金(ぜいたく税)が課され、球団同士で収益を分け合う仕組みもある。こうした制度の下でも、フォーブスの推計では2025年に12球団が赤字となった。直近のデータではNBAの赤字チームは2球団にとどまり、NFLとNHLでは赤字チームは出ていない。

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投資家の関心の強さを示す動き──タンパベイ・レイズが評価額を上回る価格で売却

投資家のMLBへの関心の強さを示す動きもある。2025年9月には、住宅建設で財を成したビリオネアのパトリック・ザルプスキがタンパベイ・レイズを17億ドル(約2686億円)で買収することで合意したと報じられた。この額は、2025年春にフォーブスが算出した同球団の評価額12億5000万ドル(約1975億円)を大きく上回る。近年は球団の少数株の売却も相次ぎ、野球ビジネスへの投資意欲の高さがうかがえる。

フォーブスの推計によると、レイズの売却額は直近1年の収益の約5.7倍に相当する水準だった。現在、MLB全体の平均倍率は7.0倍となっており、NBA(12.9倍)、NFL(10.7倍)、NHL(9倍)、MLS(8.9倍)には及ばないものの、フォーブスが29年間にわたり球団評価を行ってきた中で最高水準となっている(パンデミックで短縮された2020年シーズンを除く)。フォーブスはヤンキースの評価額を2025年の推定収益の12倍と見積もっており、これはNBAの平均に近く、2025年のNFL27球団を上回る水準だ。最下位に位置するマーリンズでも4.7倍となっており、この水準は10年前であればMLBの平均を上回っていた。

2029年の次期放映権契約に向けて、MLBはストリーミングを含む収益拡大を模索

リーグ全体で見ると、MLBの全国向けメディア収入は、2025年にESPNとの契約を見直したにもかかわらず、引き続き増加している。次の放映権契約のサイクルが始まる2029年には、収益が伸びる可能性もある。ただし、財務的に余裕のない放送局から、より人気の高いNFLやNBAが資金を吸い上げてしまわないことが前提となる。もっとも、MLBにとって追い風もある。テレビでリアルタイム視聴される数少ないコンテンツであるライブスポーツへの需要は、かつてないほど高まっている。地域メディア市場の悪化により、MLBが全国向けに販売できる試合数が増える可能性もあり、視聴率の上昇と重なれば収益拡大の余地は大きい。MLBコミッショナーのロブ・マンフレッドは、現在の契約に満足しているドジャースのような球団も含めた、より一元化されたストリーミングパッケージの構築を視野に入れている。

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ワールドシリーズ視聴者数が日本では1試合あたり970万人、海外市場が収益拡大を支える可能性

海外市場も、次のメディア契約に向けて収益拡大が期待される分野だ。これまでMLBは、国際放映権を国内契約に抱き合わせるか、ほとんど価値のない水準で売却してきた。しかし日本では、2025年のワールドシリーズの平均視聴者数が1試合あたり970万人に達し、カナダの810万人を上回り、米国の1610万人の半分以上に達していた。このシリーズには大谷翔平に加え、ドジャースの山本由伸や佐々木朗希といった日本人スターも出場していた。各球団がすでにユニフォームに企業ロゴを入れる広告契約の締結をほぼ完了し、新たに国内で販売できる広告枠が限られる中、海外企業がスポンサー収入の拡大を支える可能性もある。

野球ビジネスの健全性を示すより分かりやすい指標として、観客動員数も挙げられる。2025年のMLBの総観客数は7140万人に達し、アスレチックスとレイズが収容人数の少ないマイナー球場を本拠地として使用していたにもかかわらず、増加を維持した。これを受け、チケット販売は3年連続の伸びとなり、2005年から2007年以来の記録となった。

パドレスの売却額が、球団買収の記録を大きく更新する見通し

こうした追い風を背景に、2026年売却が見込まれているサンディエゴ・パドレスの評価額は30億ドル(約4740億円)を超えると広く予想されている。同球団の価値は、年間数千万ドル(数十億円)の収益を生むイベント事業も含めれば、35億ドル(約5530億円)に達する可能性もあり、最終的な売却額が、2020年にスティーブ・コーエンがニューヨーク・メッツを24億ドル(約3792億円)で買収した際の記録を大きく更新するのは確実と見られている。

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翻訳=上田裕資

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