世界的ブランドを支える存在ながら、一般にほとんど知られていない
VercelはOpenAIやグーグルのように、一般的に広く知られた企業ではないが、世界的な大手にとって重要な基盤を担っている。アンダーアーマー、ストライプ、Sonosといった企業が、自社のデジタルインフラのホスティングにVercelを利用している。
アクセルとGICが約477億円の調達を主導、評価額が約1.5兆円に拡大
Vercelは2025年9月、名門ベンチャーキャピタルのアクセルとシンガポールの政府系ファンドGICが共同主導したラウンドで、3億ドル(約477億円)を調達した。この資金調達により、同社の評価額は前年の32億5000万ドル(約5168億円)から93億ドル(約1.5兆円)へと引き上げられた。この資金調達によって、アルゼンチン出身の移民ラウフはビリオネアとなり、その純資産は少なくとも21億ドル(約3339億円)に達したとフォーブスは推計している。
Claude Codeとのつながりから得られる恩恵
Vercelは、Claude Codeとのつながりから確実に恩恵を受けている。ただし、それは何らかの商業契約があるからではない。開発者に広く使われているVercelは、その普及を背景に、Claudeがアプリのデプロイ先として自然に選ぶ代表的なホスティングサービスになっている。
Next.jsが学習データに大量に含まれ、ClaudeがVercelを提案する流れ
ウェブサイト構築で広く使われているオープンソースのフレームワーク『Next.js』は、Vercelが開発・保守している。Claudeのような言語モデルの学習データには、Next.jsのコードが大量に含まれている。その結果、これらのモデルはNext.jsのコードを書く能力を大きく高めてきた。こうして、ユーザーがいわゆる「バイブコーディング」でアプリを作ると、デプロイの段階でClaudeがVercelを提案するのは自然な流れになる。
「大規模言語モデルはVercelを好んでいるように見えるし、我々もそれに応えている」と、Vercelの初期投資家であるアクセルのパートナー、ダン・レヴィンは語る。
AIエージェントによるデプロイのうち、約70%をClaude Codeが占める
こうした動きはまだ初期段階にあるものの、Claude Codeの効果はすでに数字に現れ始めている。Claudeを利用しているVercelの顧客は全体の1%強にとどまるものの、デプロイ全体の約15%を占めている。
広い視点で見ると、AIエージェントがバイブコーディングで生成したアプリによる、Vercelへのデプロイも増加している。ToDoリストアプリやカスタマーサービス用ボットなどがその代表例で、その割合は2025年6月の約5%から2026年2月には21%超へと拡大した。こうしたエージェントによるデプロイのうち、約70%をClaude Codeが占めている。
AIコーディングの拡大は、Vercelの売上も伸ばしている。同社がフォーブスに明らかにしたところによると、2月末時点の会計基準(GAAP)ベースの年換算売上高は3億4000万ドル(約541億円)に達し、前年から86%増加した。


