中国のテンセントは今年、AI関連支出を少なくとも倍増し、360億元(約8320億円)に引き上げる計画だ。同社はゲーム・ソーシャルメディア大手として、モデルの学習、人材獲得への投資を進めるとともに、AIエージェントサービスのマーケティングを強化する。
億万長者の馬化騰(ポニー・マー)会長兼CEOが率いる経営陣は、米国時間3月18日に行われた決算発表に伴うカンファレンスコールで、AI投資の増額を表明した。この支出には、AIモデルの学習に必要な半導体チップの購入は含まれない。
同社にはAIに注ぎ込むだけの十分な余力がある。昨年第4四半期の売上高は、オンラインゲーム部門の強い業績により前年同期比13%増の1944億元となった。純利益も前年同期比14%増の583億元だった。
しかし、香港上場株は米国時間3月19日に約7%下落した。同社がAIにより多くの資源を配分するため、今年は自社株買いを減らす可能性があると述べたためだ。昨年、テンセントは総額800億香港ドル(約1兆6300億円)を投じて1億5340万株を買い戻し、株価を下支えした。株価は2025年に約50%上昇している。自社株買いの削減は、上昇相場を支えてきた要因の1つを取り除く可能性があると、エバーブライト証券インターナショナルの香港拠点の証券ストラテジスト、ケニー・ンは指摘する。
一方、AI投資は回収までにより長い時間を要するとも同氏は述べる。フォーブスのリアルタイム・ビリオネア・リストによれば純資産533億ドルで中国第3位の富豪であるポニー・マーは、同社がWeChat向けのAIエージェントサービスを開発中であるという先行報道も追認した。この製品は、オーストリアの開発者ピーター・シュタインベルガーが生み出したAIアシスタント「OpenClaw」から着想を得たという。OpenClawは、中国で「Raising a lobster(ロブスターを育てる)」と呼ばれる大ブームになっている。



