働き方

2026.03.28 12:00

AIを使うと頭が悪くなる?「脳の疲弊」を防いでより賢くなるための正しい付き合い方

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思考を委ねることと作業を委ねることは別物

AIを使ってもっと賢くなる方法もある。AIに自分の考えに疑問を投げかけさせたり、議論の明らかな欠陥を浮き彫りにさせたり、あるいは評価の選択肢を提示させたりするために利用するのだ。一方で、質問を投げかけて答えを受け入れるだけの使い方もある。MITの研究では、後者のグループには代償が伴うことが示された。AIを使えない状態にしたとき、参加者の能力は低下していた。強みのように感じられていたものは実は能力の衰えだった。

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マーク・キューバンはウルフが共有した言葉の中でこう言っている。「大規模言語モデル( LLM)のユーザーは大きく2つのタイプに分かれる。あらゆることを学ぶために使う人と、何も学ぶ必要がなくなるように使う人だ」。自身が前者のグループに属するよう心がけよう。AIは思考を鋭く保つための推論プロセスを省略するためではなく、反復的なタスクにかかる時間を節約するために活用すべきだ。AIに作業の過程を見せるよう求め、そのアウトプットについて議論しよう。AIを「答えを返す機械」ではなく、「議論の相手」として使う習慣を身につけたい。

ツールを開く前に使用のルールを決める

ウルフはAI疲労を経験した後、3つのルールを設けた。午前中はペンでアイデアを紙に書き出すという深い思考を行い、午後はAIを使った実行を行う。AIをダラダラ使うのではなく、時間を区切って使用する。そしてAIの成果は70%まで受け入れ、残りは自分の頭で仕上げる。自分なりのルールを作るべきだ。毎日、AIを使う時間と使わない時間を事前に決めるといい。

何にも注意を奪われず、自身の脳をフル活用する思考のために朝の習慣を守りたい。今後10年で知性を積み上げていく創業者は、今これらのルールを作っている人だ。消耗してからバーンアウト(燃え尽き症候群)に対処する人ではない。

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「脳の疲労」からチームを守る

ハーバード・ビジネス・レビューの研究では、組織からAIを使うよう強く求められていると感じる人ほど精神的疲労が強かった。管理職が部下に対してAIを使いこなすよう求めると、疲労度は増す。だがチームとして明確なAIの使い方を共有すると、認知負荷は少なくなる。部下はあなたの行動を真似る。あなたが6つのツールを行き来して毎日疲弊しているなら、部下もそうなってしまう。

AIの使用に関するチームレベルの合意を形成したい。どのタスクをAIに任せ、どのタスクを人間が行うか、そしてアウトプットがどのようにレビューされるかを明確にする。これは一方的な指示ではなく、対話を通じて進めるべきだ。AIエージェントの時代が到来しており、人間の判断力を鋭く保つ文化を築くリーダーこそが、アウトプットだけでなく自らの強みをさらに強化していくことになる。

AIに賢さを奪われてはいけない

ウルフが最終的に出した結論は、「私たちの脳の代替としてではなく、拡張としてAIを使うべき」だ。

ツールは素晴らしいものだ。しかしそれらを使う上で重要なのは、単に生産性を高めるだけでなく、自身やチームの思考力を維持できるような使い方を心がけることだ。ルールを設け、思考のための時間を確保し、脳をビジネスにおける最も貴重な資産として扱うことだ。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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