経営・戦略

2026.03.23 15:30

米最大手フードデリバリーDoorDash、配達員に「AI用データ収集」の副業を提供

Erman Gunes / Shutterstock.com

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DoorDash(ドアダッシュ)は米国時間3月19日、AIやロボットシステムの訓練に必要な短時間タスクを完了した配達員に報酬を支払う独立型アプリ「Tasks」をリリースした。配達員は、皿洗いをする様子を撮影したり、レストランのメニューを写真に収めたり、外国語でスピーチを録音したりすることで収入を得られる。報酬は事前に開示され、各タスクの労力と複雑さに応じて設定される。

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この製品には2つの要素がある。独立型アプリ「Tasks」は、AI訓練データ、つまり生の音声・映像に焦点を当てており、Bloombergによると、DoorDashの社内モデルと、小売、保険、ホスピタリティ、テクノロジー分野のパートナーが開発したモデルの両方を評価するために使用される。2つ目は、既存のDasherアプリに直接Tasksを組み込んだもので、配達員は現地での写真撮影の仕事を受けられる。将来の配達員が配達場所を見つけやすくするためにホテルの入り口を撮影したり、レストランのメニュー更新用に料理を撮影したりするのだ。DoorDashの既存のWaymoとの提携で、自動運転車のドアを閉める配達員に報酬を支払う業務も、タスクとして分類されている。

「米国のほぼすべての場所に到達でき、配達以外でも柔軟に収入を得たいと考えているDasherは800万人以上いる」と、DoorDash Tasksのゼネラルマネージャーであるイーサン・ビーティは同社の発表で述べた。「これは物理的世界をデジタル化する強力な能力だ」

DoorDashによれば、Dasherは2024年以降200万件以上のタスクを完了しており、このインフラは今回の正式リリースに先立って存在していたことがわかる。このサービスは現在、カリフォルニア、ニューヨーク市、シアトル、コロラドを除く米国の一部市場で利用可能だ。

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Uberの先行事例

DoorDashは、労働力をAIデータ収集に振り向けた最初のギグプラットフォームではない。2025年10月、UberはAI Solutions Groupを通じてパイロットプログラムを発表し、米国のドライバーがUber Driverアプリを通じて、写真のアップロード、音声クリップの録音、文書の文字起こしといった小規模なデジタル業務を完了できるようにした。ダラ・コスロシャヒCEOは、ワシントンD.C.で開催された同社のOnly on Uber 2025カンファレンスでこのプログラムを発表し、ドライバーが運転していないときの補助的収入として位置づけた。

Uberはすでにインドでこのモデルをテストしており、12都市で100万人以上のドライバーが画像分類、テキスト分析、音声の文字起こし、レシートのデジタル化などのタスクを完了した。同社はその後、ライダーとマルチセンサーアノテーションのスタートアップであるSegments.aiを買収し、ラベリング能力を強化したとPYMNTSは伝えている。

両プログラムの類似点は明白だが、DoorDashのアプローチは1つの注目すべき点で異なる。Tasksアプリは、デジタルアノテーションではなく、物理的世界の映像——例えば家事の手持ち動画——を主に求めているのだ。これにより、DoorDashのデータ提供は、従来のテキストと画像のラベリングよりも、身体性を持つAI(エンボディドAI)とロボット訓練市場に近い位置にある。

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