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2026.03.23 12:00

マスクとアンドリーセンが「誰もが自分専用アプリを持つ時代」がくると考える理由 利用者ゼロでも

Frederic Legrand - COMEO / Shutterstock.com

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ベンチャーキャピタルAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)の共同創業者マーク・アンドリーセンは、Xへの投稿で、テクノロジー業界全体ですでに進行している変化を明確に言語化した。

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設計当初のウェブは、共有されたドキュメントの体系だった。いま構築されつつあるのは別物である。問いかけた一人ひとりに対して固有のドキュメントを生成する仕組みだ。

この違いは、最初に思う以上に重要だ。この30年、インターネットの経済性は安定した前提に基づいていた。コンテンツは一度制作され、何度も消費される。1つのコンテンツに対して数百万人の視聴者という比率が、広告モデル、SaaSモデル、メディアビジネス、ソーシャルプラットフォームの基盤である。

AIはこの比率を崩す。コンテンツとソフトウェアが要求に応じて合成されると、単位あたりの制作コストはゼロに近づき、特定の成果物の受け手は1人へと減少していく。

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ソフトウェアが自らのモデルを食い尽くす

アンドリーセンが2011年に予測した「Software is eating the world(ソフトウェアが世界を食べる)」は、小売、メディア、音楽、輸送の各分野で正しさが証明された。2026年版の更新は、いまやAIがソフトウェアそのものを食べている、というものだ。

2026年2月には、金融メディアが「SaaSpocalypse(SaaSアポカリプス)」と呼んだ売りで、エンタープライズソフトウェアの評価額から1兆ドル(約159兆円)が消えた。キース・ワイス率いるモルガン・スタンレーのアナリストは、倍率を33%押し下げている「ソフトウェアの三位一体の恐怖」について警告するリサーチノートを公表した。その中心にあるのは、AIが企業向けソフトウェアが支えてきた業務を自動化する可能性だ。

この混乱は循環的ではなく構造的だ。標準的なSaaS製品は固定された成果物である。単一のコードベース、単一のインターフェース、単一の機能セットを持ち、席(シート)単位で課金される。AIネイティブな製品は、個々のユーザー文脈に合わせ、インターフェースと出力、そして次第にロジックまでをリアルタイムで生成する。価値の単位はもはやソフトウェアライセンスではない。あなたを理解しているモデルである。

a16zのパートナーであるアニッシュ・アチャリヤは2026年1月、業界は「コードを安価にする方法を見つけた」が、コスト低下に見合うかたちで企業全体にはまだ波及しておらず、影響の実現は10%未満にとどまると記している。別のa16zパートナーは、AIツールが「プロンプト不要で能動的なアプリ」へと収束していると述べた。行動と意図に基づいて、明示的な指示なしにユーザーのニーズを先回りし、不可視のまま動作するアプリである。

広告が抱える根源的な問題

デジタル広告は、掲載枠の希少性を前提に設計されてきた。パブリッシャーはコンテンツを制作し、オーディエンスを集め、その注意へのアクセスを販売する。このロジックには安定した在庫が必要だ。広告を掲載する前から存在しているページ、フィード、動画だ。生成AIはこの在庫を溶解させる。ユーザーごとにコンテンツが組み立てられるなら、購入すべき既存の掲載枠が存在しない。

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