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2026.03.23 12:00

マスクとアンドリーセンが「誰もが自分専用アプリを持つ時代」がくると考える理由 利用者ゼロでも

Frederic Legrand - COMEO / Shutterstock.com

OpenAIとGoogleはいずれも、この問題の解決に取り組んでいる。Googleは2025年末、2026年にGeminiへ広告を導入する計画を広告主に伝えた。OpenAIは、業界分析によれば、ChatGPTが特定のユーザーの問い合わせに合わせて広告コピーを動的に生成するモデルへと向かっている。eMarketerは、米国におけるAI主導の検索広告支出が、2025年の約11億ドル(約1750億円)から2029年には260億ドル(約4兆1400億円)へと増加し、4年で23倍になると予測する。

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この変化は広告を消し去るのではない。掲載枠のロジックを、関連性のロジックへと置き換える。コンテンツに紐づくスペースを買うのではなく、意図への近接性を買うのだ。その仕組みで勝者となるのは、各ユーザーについて最も詳細な行動モデルを持つ者だ。その優位は、巨大な会話データセットにアクセスできる少数の企業、主としてGoogle、Meta、OpenAIに属する。

独立系パブリッシャーや中堅の広告ネットワークにとって、その帰結は深刻だ。従来型の検索ボリュームは2026年までに25%減少すると予測されている。LLMベースのクエリが情報探索行動を吸収するためだ。ユーザーがソースページへのクリックをやめれば、コンテンツ制作を資金面で支えてきたウェブトラフィックは消える。コンテンツの質がどうであったかにかかわらず、である。

データの堀が唯一の堀になる

あらゆる製品がオンデマンドで生成される市場では、持続的な競争優位は1つの変数へと集約する。生成の基盤となる行動モデルの豊かさである。ユーザーがどう考え、どう意思決定し、どう行動するかをより深く理解する企業ほど、より適切にパーソナライズされた出力を生み出す。より良い出力は利用を増やす。利用が増えればモデルが改善される。このサイクルは自己強化的で、外部から模倣しにくい。

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このことは、業界横断で競争のロジックを組み替える。a16zは運用資産430億ドル(約6兆8470億円)超を抱え、そのポートフォリオの多くをこのテーゼに基づいて構築してきた。すなわち、特定領域における独自の行動データを蓄積する企業は、そうでない企業を上回る。データがパーソナライゼーションを生み、パーソナライゼーションが、汎用AIインターフェース間の乗り換えコストがゼロの市場でユーザーをつなぎ留めるからだ。

アンドリーセンは、2026年1月のa16zポッドキャストでのインタビューで、今後現れると考えるモデルのアーキテクチャを語った。頂点には少数の大規模な基盤モデルがあり、そこからより小さく、より専門化されたモデルへとカスケードし、末端は個々のデバイス上で動作する組み込みシステムに至る。この構造は、コンピューティングそのものが進化してきた過程をなぞる。そのアーキテクチャを定義するのは、必ずしも基盤モデルを構築する企業ではない。専門化の各レイヤーで最良のデータを蓄積する企業である。

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