今年は米国人旅行者にとって厳しい年となっている。たとえば2月中旬には異常気象で猛吹雪や嵐が発生し、旅程を狂わされた人もいただろう。この3月にはにわかにイラン軍事衝突が勃発し、燃料価格が急騰している。この紛争に関しては引き続き人道状況などに関心が寄せられているけれど、世界の移動への副次的な影響も大きく、この夏の旅行計画の見直しを迫られる人も出てくるかもしれない。
燃料費の高騰はすでに航空券価格に転嫁
旅行メディアAFARの記事によると、一般に航空会社の総営業費の20%以上を占めるとされるジェット燃料の価格は、3月13日までの2週間で52%も上昇した。値上がりは主に、イランとオマーンに挟まれ、世界の石油海上輸送の20%超が通過するホルムズ海峡に関係する軍事衝突の影響によるものだ。ブルームバーグ通信のコラムニストは、この武力紛争が続く限り、原油価格は1日3〜6ドルのペースで上昇し続けるとの見方を示している。
航空各社が顧客に航空券を直接販売している以上、運輸コストの上昇分はすぐに航空券価格に転嫁されることになる。実際、旅行誌コンデナスト・トラベラーなどが報じているように、すでに多くの航空会社が運賃を引き上げている。
2025年、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに少なくとも1泊した外国人旅行者は2000万人近くにのぼった。この数は米ニューヨーク市のざっと3倍にのぼり、いくつかの調査でドバイは世界で5番目に人気の観光地とされている。現在の紛争による人的被害に重要な懸念があるものの、ドバイやUAEが観光面で果たしている役割は地域の安定に欠かせず、いまの状況は地域の旅行産業を不安定にするおそれがある。ブルームバーグは、これは航空業界にとって新型コロナウイルス禍以来、最大規模のショックとなっており、世界全体の航空能力の最大10%が一時的に失われたと報じている。
そのうえ、広範な空域が民間航空機にとって立ち入り不能になっている。同様の事態はウクライナでの戦争や、2025年6月のイスラエル・イラン紛争でも起こっている。航路追跡サービスのフライトレーダー24によると、後者に際してはイスラエル、イラク、イランの上空に大きな「空白」ができていた。現在のイスラエル・米国とイランの交戦でも、多数のフライトが大幅な迂回を余儀なくされている。



