筆者は10年以上にわたり、男性を同盟者(アライ)として巻き込むことについて話してきた。講演ではしばしば、こうした決まり文句を耳にする。「本当に? また男性に焦点を当てるの? 女性の課題はどうなるの?」。企業のダイバーシティ&インクルージョンの議論は長年、女性が経営幹部(Cスイート)に到達するのを阻む障壁を取り払うことに集中してきた(賃金格差、「壊れたはしごの最初の段」、そしてジェンダーバイアスなどである)。
しかし、学術誌Research in Organizational Behaviorに掲載された、アシュリー・E・マーティンとスンジュ・ユーによる新たな研究「特権のパラドックス:男性性が男性と組織にもたらす不利益(The paradox of privilege: The downsides of masculinity for men and organizations)」は、重要なピースを見落としてきた可能性を示している。すなわち、男性に求められる硬直的な「男性性」の期待が、実は女性にとっての職場不平等を生む主要因の1つになっている、という点である。
研究者らは、「特権のパラドックス」が、男性が男性のために設計したシステムが諸刃の剣であることを示すと主張する。それは構造的な権力をもたらす一方で、伝統的なジェンダー役割を固定したままにする心理的コストも課す。真のジェンダー平等を望むなら、男性性が男性をどう制約しているのかを理解しなければならない。なぜなら、その制約こそが、女性を締め出す壁そのものだからである。
以下では、この研究から得られる3つの主要テーマを紹介する。男性を男性規範から解放することが、女性の前進の「秘密兵器」である理由を説明するものだ。
1. 「頑丈なオーク」を打ち砕き、リーダーシップ格差を埋める
研究者らは、社会が男性を頑丈なオークの木のように社会化してきたと示唆する。つまり、感情を表に出さず、合理的で、完全に自立している存在としてである。職場ではこれが、リーダーのあるべき姿の「男性的デフォルト」を形づくる。男性は弱さを見せないことを期待されるため、限定された範囲の主体性のある行動が報われやすい。
これは女性に二重の意味で直接的な不利益を与える。第一に、女性が同じ男性的特性を示すと、女性らしくないとして反発を受ける。第二に、共感や思いやりのような特性が女性的だとラベル付けされることで、リーダーにとって不要な飾りと見なされてしまう。男性が「感情を出さない台本」から離れることを許せば、リーダーシップの定義を共同性のある特性まで広げられる。そうすることで、女性が罰せられることなく、自分らしくリードするための道筋は広がる。
こうした時代遅れのジェンダー規範を解体した結果、すべてのジェンダーの人々がより自分らしさを感じ、硬直的なジェンダーの枠の外で自由に行動できるようになる。自分自身に忠実である自由を感じられるとき、人はより良い仕事ができる。
2. 「男性性競争文化」を解体し、過重労働を終わらせる
多くの名声ある業界は、研究者らが「男性性競争文化(Masculinity Contest Cultures)」と呼ぶものへと発展してきた。そこでは仕事が、極端なリスクテイクと全面的な仕事への献身を通じて男らしさを証明する手段となる。こうした環境で理想の労働者とされるのは、会社のために家族や私生活の境界を犠牲にする人である。
この文化は、女性の前進を阻む主要な障壁である。男性が長時間働く稼ぎ手であることを期待されるため、家事・ケアの負担は不均衡に女性へとのしかかる。家庭にもっと関わりたいと望む男性であっても、男らしくないと見なされることで柔軟な働き方へのスティグマに直面したり、報酬が減らされたりすることがある。男性性競争文化を解体することで、24時間365日の過重労働を「男性性の演出」として報いることをやめられる。これは、非現実的な要求のために歴史的に周縁化されてきた女性にとって、競争条件を平準化する。
すべてのジェンダーが公平にケアワークに関わることで、仕事以外の生活はより豊かで充実したものとなり、それがしばしば自分を支えてくれる組織へのより強いロイヤルティにつながる。
3. 非人間化と共感のギャップ
この研究は、身の毛もよだつ社会的コストとして「機械的非人間化(mechanistic dehumanization)」も浮き彫りにする。男性は達成のための道具だという固定観念により、痛みや複雑なニーズを経験し得る存在として見なされにくい。その結果、男性を危険または搾取的な状況に置くことに人々が抵抗を感じにくい環境が生まれる。
これが女性にどう影響するのか。男性への共感の欠如は、優しさや養育性といった人間的特性が弱さと見なされる硬直的な序列を強化する。男性が達成の機械として非人間化されると、女性の同盟者やパートナーとして行動しにくくなる。自らの脆い地位を守ることに忙しくなるからである。
男性の人間性と感情的ニーズを全面的に認めることで、女性や「劣った男性」を支配することを基盤とした文化ではなく、相互支援を基盤とする職場文化を築ける。
真のジェンダー平等への道
男性や権力を持つ人々を巻き込まなければ、ジェンダー平等の進展は今後も停滞し続ける。女性を本当に前進させるには、男性性を再定義し、相互依存とケアを優先する男性リーダーを称えなければならない。助けを求めない「常に優位な存在」であるべきだという男性への圧力を取り除くとき、歴史的に女性を排除してきた権力構造そのものを解体できる。
現状維持は、いずれのジェンダーにとっても機能していない。男性のアライシップとは、ジェンダーが誰もが制約される秩序原理であることを認識することでもある。男性を男性性という諸刃の剣から解放すれば、すべてのジェンダーがよりよく生き、働けるようになる。
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