マーケティング

2026.03.22 09:51

営業とマーケティングを分断する壁を壊す──「共有の収益インフラ」という発想

AdobeStock

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考え方を変えたきっかけになったプロジェクトは、書類の上では特別に見えなかった。

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ある大手B2Bクライアントが、サイトのリニューアルを当社に依頼してきた。通常通り、主な窓口はCMOだろうと私は思い込んでいた。ところがプロジェクトのリードは営業部長だった。キックオフに現れた彼の手には、ブランドデッキではなく、通話メモで埋まったノートがあった。成功の定義を尋ねると、彼はトラフィックや認知には触れず、こう言った。「このサイトがうちのチームの商談を本当に前に進められないなら、みんなの時間の無駄だ」

6カ月後、彼のチームは商談の通話中に実際にサイトを使っていた。成約率は上がった。誰も以前の提案資料の復活を求めなかった。

そのプロジェクトで、私はある事実を認めざるを得なくなった。私はマーケティングを先導役、営業を追随役として扱っていた。だが彼は、そのWebサイトを「共有の収益インフラ」として捉えていたのだ。

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彼の方が正しかった。

かつて私は、マーケティングが先導し、営業がそれに続くべきだと信じていた。適切なブランド、Webサイト、キャンペーンを作れば、売上は自ずとついてくると。だが今は違うものが見えている。サイトもメッセージングもキャンペーンも、営業とマーケティングが同じ顧客の真実を共有し、1つのシンプルな問いのもとで一緒に作るときにしか機能しない。その問いとは、「これは本当に、売ることと買うことを楽にしているか」である。

マーケティングが単独で先導しようとするとき

最初のワークショップで、それは空気として伝わってくる。

マーケティングが場を仕切り、営業は形だけ参加するか、最後に「レビュー」として招かれる程度だ。書面上は全員が足並みをそろえている。だが実務では、解いている問題が違う。

サイトは往々にして、厳しい営業の対話を一度も生き延びたことのないポジショニング文やキャンペーンテーマを中心に作られる。ページで語られる物語は社内では耳障りがいいが、買い手が自分をどう語るかとは一致しない。

こうした分断は、多くのクライアントで明確に見てきた。マーケティングは磨き込まれた言葉で理想の顧客を語る。営業は3つの率直な行で語る。実際に署名するのは誰か、彼らは夜何に悩んでいるのか、どこで商談が止まるのか。結果は予想通りだ。見栄えのするサイトが「正しい」ブランドストーリーを語る一方で、必ずしも誰かの成約には役立たない。

ノルマを背負う人たちが、私たちの作るものの中に自分たちを見いだせないなら、戦略がどれほど洗練されて見えても意味はない。

「共有の収益インフラ」とは何か

「共有の収益インフラ」と聞くと抽象的に思えるが、実際はシンプルである。

数字が動くプロジェクトでは、Webサイトはマーケティングの持ち物のように振る舞うのをやめ、両チームが頼るツールとして機能し始める。トップページはポスターのようではなく、営業の会話の入り口のように感じられる。主となる一文は、営業が毎週耳にする具体的な状況に触れているため、買い手は訪れた瞬間に「それこそ、まさに自分が説明しようとしていたことだ」と思う。

ナビゲーションは会社の組織図ではなく、意思決定がどう進むかに沿って設計される。訪問者は「私たちは本当は何の問題を解いているのか」から「どうアプローチするのか」へ、「それができる証拠は何か」へ、そして「一緒に取り組むとはどういうことか」へと、摩擦なく進める。

事例は、見込み客がその例を見れば主要な反論が消えることを営業が知っているから選ばれる。通話中にその場で流し読みできる、あるいはフォローアップとして送れるように書かれている。ランディングページは、実際の迷いに向き合う。なぜ今動くのか、なぜそもそも変えるのか、なぜあなたを選ぶのか。営業は長いメールをもう1通送る代わりに、それらのリンクを進行中の会話へ差し込める。

そうなると、サイトはマーケティングが事業に向けて「発射」するものではなくなる。需要が生まれ、育ち、成約に至るプロセスを形作るインフラになるのだ。

営業とマーケティングを同じ部屋に集める

アラインメントは誰もが口にする。しかし実際に同席するチームは少ない。

私が見てきた最も健全なプロジェクトでは、3つの習慣が大きな違いを生んでいた。

第一に、発見(ディスカバリー)は共同で行う。マーケティング向けのワークショップと営業向けのワークショップを別々に実施しない。両者を同じ場に集め、必ずしも穏やかに着地しないシンプルな問いを投げる。「最高の顧客は、本当は何のために私たちを雇っているのか」「現行サイトは営業にどこで役立っているのか」「どこで邪魔をしているのか」

第二に、顧客の真実を共有する。誰かがコピーを書き始める前に、営業通話、提案書、RFP、サポートチケットから生の言葉を掘り起こす。次に両チームでそれを見ながら、「これ、あなたが毎日話している相手の言葉に聞こえるか」と問う。目的は完璧なペルソナではない。顧客が実際にどう話し、どう意思決定するのかという共通の像を持つことだ。

第三に、数字で生き、数字で死ぬ人が席に着くこと。創業者、CRO、営業責任者。レイアウトを細かく管理するためではなく、「これによって適切な商談がより進みやすくなるのか」を問い続けるためにいる。答えが曖昧なら、まだ終わっていない。

これが仕事をどう変えるか

Webサイトとキャンペーンを共有の収益インフラとして捉えられるようになると、基準は上がる。

「昔からあるから」という理由だけで存在するセクションにはノーと言う回数が増える。社内チームを沸かせるが買い手には何の意味もない沿革ストーリーにもノー。誰の意思決定にも役立たないページにもノーだ。

見せるためだけのデザインをやめ、使われるためにデザインし始める。耳を傾けるべき称賛は「すごく見栄えがいい」ではない。営業リーダーが「今週そのページを3件の通話で使った。効いた」と言うことだ。サイトは、現実の会話のただ中で手が伸びる存在になる。

マーケターとしての役割も変わる。ブランドと同じくらいディールの質を気にかけ、収益がより少ない摩擦で生まれる仕組みの共同設計者となる。

戦略家、デザイナー、ライターとしての私たちの仕事が、収益の方程式の両側にとって生活を楽にしないなら、どれほど巧妙でも意味はない。

Webサイト、メッセージング、キャンペーンはすべて1つのシステムの一部である。そのシステムが機能するのは、営業とマーケティングが「これは本当に、売ることと買うことを楽にしているか」という共通の指令のもとで一緒に作るときだけだ。

その誠実な答えがノーなら、仕事は終わっていない。

forbes.com 原文

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