ウクライナ軍が反撃へ
昨年9月以降、ウクライナ軍は長距離無人機部隊を拡充し、両国の国境から数百キロ離れたロシア国内の標的を攻撃している。その結果、これらの攻撃は組織的で効果的な消耗戦へと発展した。その目的は、ロシアの石油精製能力と輸出能力を段階的に低下させることにある。
これらは同国の軍事機構と経済を支える重要な収入源だ。1~2月にかけて、ロシアの石油・ガス収入は前年同期比で50%近く減少し、ウクライナ侵攻開始以来の最低水準に落ち込んだ。ロシアでは、石油精製能力の約15%が停止に追い込まれている。先月中旬、ロシアのガソリン卸売価格が急騰したため、ロシア政府はガソリン輸出の全面禁止措置を少なくとも今月まで延長せざるを得なくなった。
ロシアは場当たり的な修復に長けているが、ウクライナ軍は最近、制裁の影響で交換が困難な蒸留装置などの欧米製の製油所設備を標的とした精密攻撃に注力している。損傷した蒸留装置の稼働停止期間は、現在では数週間ではなく、数ヶ月単位で計測されるのが一般的となっている。ロシアの主要な石油輸出ターミナル、特に黒海沿岸のノボロシースクとバルト海沿岸のプリモルスクやウスチルガが標的にされており、最近では東欧に石油を供給するドルジバ・パイプラインも無人機攻撃を受けた。
ウクライナ軍は3万~5万ドル(約480万~800万円)の比較的安価な無人機で、ロシアの数百億円相当の設備に損害を与えている。この数学的な不均衡の解決に、ロシア側は苦慮している。
ウクライナにとっての優先課題は、国内で開発された巡航ミサイル「フラミンゴ」の製造を拡大することだ。同ミサイルは、ドナルド・トランプ米大統領の方針転換により結局提供されなかった米国製巡航ミサイル「トマホーク」の代替として開発された。航続距離は3000キロ(現時点では第三者による検証は行われていない)とされ、弾頭重量は1150キロであるフラミンゴは、ロシアの主要な石油関連施設のほぼすべてを射程に収め、甚大な被害をもたらす可能性がある。当然のことながら、ロシア軍は同ミサイルが製造されている工場を標的にしており、一定の成果を上げている。一方、ウクライナ側は製造拠点を別の場所に移し、再開したとしている。
エネルギー戦争は欧州にも拡大
北大西洋条約機構(NATO)の欧州の加盟国は2023年以降、特に過去18カ月間、非軍事的だが致命的な結果を招きかねないハイブリッド攻撃への対策を強化している。最も深刻な影響を受けているのは、ポーランド、リトアニア、エストニア、フィンランド、ドイツ、英国だ。これらの攻撃は仲介者によって行われているものの、背後に誰がいるのかについては疑いの余地はほとんどない。こうした動きは2022年初頭に急増し、NATOによる既存の制裁措置の厳格な執行に伴い、激しさは増している。
攻撃の手口は、NATO領空への度重なる侵犯や鉄道などの社会基盤への破壊工作、ウクライナを支援する東欧諸国の人々に対する暗殺、サイバー攻撃や偽情報活動、放火、全地球測位システム(GPS)妨害、器物破損行為など、多岐にわたっている。とりわけ悪質な事例としては、海底ケーブルやパイプラインの切断が挙げられ、特にバルト海で多く発生している。


