1914年のクリスマスの日、第一次世界大戦中の英軍とドイツ軍の兵士は武器を置き、塹壕(ざんごう)から姿を現し、無人地帯の泥と血にまみれた地で、束の間の平和を分かち合った。このような瞬間は、現在のウクライナ侵攻における塹壕戦とは悲劇的に無関係であるように思われる。ロシア軍の空爆は昨年のクリスマスの週を通じて続き、新年に入ってもなお続いた。
ロシア軍のミサイル、ロケット、ドローン(無人機)は、ウクライナの送電網を集中的に攻撃している。現在では、ロシアは自国で無人機を製造できるようになり、ウクライナの電力供給能力の3分の2近くを破壊している。ロシア軍の戦略は、断続的な大規模攻撃から、国家の電力網を体系的に破壊することを目的とした、小規模かつ精密な攻撃による「エネルギーテロ」へと移行している。
エネルギーを巡る争いで、ウクライナ側もただ手をこまねいているわけではない。ウクライナ軍は長距離無人機でロシアの飛行場を攻撃しただけでなく、石油貯蔵施設や製油所、タンカー、パイプライン、黒海の輸出ターミナルにも甚大な被害を与えた。こうした攻撃は、ロシアの戦時経済が低迷する中、ロシア大統領府(クレムリン)の最大の収入源に直接的な打撃を与えている。
氷点下20度の極寒に耐えるウクライナ市民
ロシア軍の死傷者は現在、少なくとも120万人と推定されており、これはウクライナ側の死傷者の2倍以上に上る。ロシア軍は前線ではほとんど進展を見せていないものの、無人機やミサイルでウクライナの発電や送電網の機能を著しく低下させることに成功している。
ウクライナ国内の15カ所の火力発電所はすべて損傷を受けており、発電能力の9割近くが影響を受けている。また、水力発電所の半数に加え、ウクライナが管理する3カ所の原子力発電所すべてが深刻な被害を受け、発電量の削減を余儀なくされている。そのほか、送電網や石油・ガスの貯蔵施設も標的となっている。つまり、ロシアの狙いは、ウクライナのエネルギーシステムを完全に崩壊させることにあるのだ。
この冬は特に厳しかった。ウクライナでは気温が氷点下20度まで下がり、数百万人の国民が1日わずか数時間の電力供給しか受けられない状態にあった。首都キーウだけで約6000棟の集合住宅が被害を受け、うち1100棟は修復不可能なほど損壊した。電力、暖房、水道供給のすべてが直接的な影響を受けている。
ウクライナの防空システムは被害を大幅に軽減しているものの、昨年半ば以降に見られるようになった新たな規模の攻撃には太刀打ちできていない。米シンクタンク、科学国際安全保障研究所(ISIS)によると、こうした攻撃は月平均5500機以上の無人機とミサイルによるもので、今年に入って命中率は約13%から17%以上に上昇している。この状況が収まる兆しは今のところ見られない。ロシア軍はこれまでのところ、ウクライナの送電網を低稼働状態に追い込むことに成功している。ロシアはイランから提供された技術と助言を活用し、無人機の量産を実現した。



