北米

2026.03.22 10:30

イラン情勢でアメリカンビーフ高騰、牛ひき肉価格が過去最高値に

米ノースカロライナ州のスーパーマーケットの棚に陳列された牛ひき肉製品(Shutterstock.com)

4つのコスト上昇要因

イラン情勢が米国産牛ひき肉に与える影響には4つの明確なコスト要因があり、それぞれ異なるタイムラインで発生している。

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・コスト上昇要因その1:輸送用燃料

牛肉の輸送は生牛の段階からすべてディーゼルトラックが担っている。2月の米ディーゼル燃料価格は1ガロン平均3.72ドル(約600円)だったが、3月16日には5.07ドル(約800円)に達し、前年比1.52ドルの急騰となった。これは米政府が1994年に価格調査を開始して以来最大の週間上昇幅である。

輸送費は牛肉の総コスト構造において大きな割合を占める。ディーゼル価格が30%上昇すれば、牛肉1ポンドあたりの店頭価格は約5~6セント(約8~9.5円)上がることになる。

・コスト上昇要因その2:牛肉の包装

牛ひき肉製品は、石油由来のポリスチレン製またはPET(ポリエチレンテレフタレート)製のトレー容器に収められ、石油由来のプラスチックフィルムで密封されている。樹脂価格は原油価格に対して4~6週間遅れで連動しており、イラン攻撃以来、原油価格は40%以上高騰している。包装費は店頭価格に牛肉1ポンドあたり約3~4セント(約5~6円)上乗せされる。

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・コスト上昇要因その3:加工・冷蔵エネルギー

牛肉加工場は、冷蔵、設備、照明、給湯など、膨大な量のエネルギーを消費する。天然ガスも電気も原油価格とともに値上がりしており、公共料金の契約更新に伴って、さらに牛肉1ポンドあたり3~5セント(約5~8円)が上乗せされる。

・コスト上昇要因その4:飼料用トウモロコシ

実は、これが最大の不安材料だ。投入コストのうち最大を占め、影響が表れるのに最も時間がかかり、おそらく最も壊滅的な打撃をもたらすだろう。

飼料コストは、米国産牛肉1ポンドの総製造原価の約60~65%を占める。牛肉1ポンドの生産にはおよそ6~8ポンド(2.7~3.6kg)のトウモロコシが必要だ。トウモロコシ価格はまだ高騰していないが、今秋の作付け用資材はすでにイラン情勢を受けて危機的状況にある。

トウモロコシ生産において最も重要な投入資材は窒素肥料だが、イラン攻撃の影響は壊滅的だ。米肥料協会によると、最も一般的な窒素肥料である尿素の価格は、対イラン軍事作戦が始まってから1週間で30%も値上がりし、輸入拠点のニューオーリンズでは1トンあたり516~683ドル(約8万~11万円)を付けた。米コンサルティング会社トレーディング・エコノミクスは、3月中旬までに尿素価格は前年同月比で約60%上昇したと報告している。

また、米中西部のコーンベルトで農家が土壌に直接注入する無水アンモニア肥料の価格も、作戦開始の前後で1トンあたり850ドル(約13万5000円)から1050ドル(約16万7000円)へと上昇。前年同月比41%高くなった。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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