北米

2026.03.22 10:30

イラン情勢でアメリカンビーフ高騰、牛ひき肉価格が過去最高値に

米ノースカロライナ州のスーパーマーケットの棚に陳列された牛ひき肉製品(Shutterstock.com)

2月28日に米国とイスラエルがイラン攻撃に踏み切る前から、米国産牛ひき肉はすでに過去最高値を記録していた。米労働統計局のデータによると、2026年2月の牛100%ひき肉の全米平均価格は1ポンドあたり6.74ドル(約1070円)に達し、1980年代の統計開始以来の最高値を更新。価格は2025年だけで22%上昇し、2020年以来の上昇率となっていた。

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一方、米国における肉用牛の飼育頭数は2026年1月時点で8620万頭にまで減少し、75年ぶりの低水準を記録。2020年比で8.6%減少していた。

そこへ、ホルムズ海峡の事態が起きたのである。

右肩上がりの牛ひき肉価格

なぜ牛ひき肉がイラン情勢に伴う経済ショックの影響をこれほどまでに受けやすいのかを理解するには、まず米国の牛肉供給網が構造的にどれだけ崩壊しているかを知る必要がある。

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米国では長期にわたる干ばつの影響が広がり、特に肉用牛の飼育頭数で全米トップ2のテキサス州とオクラホマ州では放牧地が枯れて、維持・再建が困難となった牧場の廃業が相次いだ。一方、肉用牛飼育頭数全米第4位のネブラスカ州では山火事で放牧地が被災。また、肉食の寄生虫である新世界ラセンウジバエの被害拡大を受けてメキシコからの牛の輸入が制限されたことで、肥育場の供給も逼迫している。こうしたさまざまな事情から肉用牛の飼育頭数は75年ぶりの低水準となり、牛肉のサプライチェーン(供給網)そのものが歴史的に逼迫した状況にある。

2020年1月には1ポンドあたり3.99ドルだった牛ひき肉の全米平均価格は、6年で69%も上昇し、そのグラフの曲線は右肩上がりを続けている。

米食品小売業界を分析して30年以上になる筆者は、商品市場の急変、供給の混乱、干ばつの周期、パンデミックによる供給途絶などを目撃してきた。しかし今、目の当たりにしているのは前例のない事態だ。かねてあった構造的な供給危機が、地政学的ショックと正面衝突し、牛肉の生産に必要なあらゆるコストを同時に押し上げている。燃料、肥料、飼料、包装、輸送──これらすべてが牛肉価格のさらなる高騰につながっているのだ。

これは単なる一時的な商品価格の乱高下ではない。構造的な要因が重なった結果だ。75年ぶり最悪の肉用牛の供給不足が2022年のロシアによるウクライナ侵攻以来最悪のエネルギー危機と重なり、3億3000万人の米国人の食卓に欠かせない食材に打撃を与えている。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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