経営・戦略

2026.03.21 10:47

異論のないチームが失敗する理由

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CEOとして私が学んだ最も高くついた教訓は、全員が私に同意したその日に得たものだった。

理事会とリーダーシップチームは、大幅な事業拡大案をめぐって一致団結していた。それは私たちの中核的な専門領域を超えるものである。私たちは専門コンサルタントを雇い、提言を徹底的に精査し、確認の質問も重ねた。彼らは私たちに欠けていた資格と実績を備え、提示された予測は、私たちが「可能であってほしい」と願っていた見立てとも整合していた。

振り返れば、私たち自身で市場調査を行い、その予測をより深く検証すべきだった。だが実際には、対価を払って得た専門性に判断を委ね、提示されたデータを受け入れてしまった。

その結果、当該イニシアチブはいま、私たちが本来は別の用途に振り向けたい資源を要する存在となっている。関与した全員が、意思決定の進め方を変えるべきだったと感じている。

この経験は、高い成果を出すチームについての私の考え方を作り替え、いまでは至るところで目にするパターンを浮かび上がらせた。

健全なチームが互いに挑戦し合う理由

非営利団体の理事会は、ミッションへの真摯な思いを原動力に動くことが多く、その情熱が深いコミットメントを生む。問題は、調和を保つことが厳密な思考の代替になり始めたときに起きる。全員が同じ大義を深く大切にしているほど、意思決定に疑問を呈することが、活動そのものを損なう行為のように感じられることがある。

だが、学んだのはむしろ逆である。互いの思考に挑戦するチームほど、資源を投下する前に前提を吟味するため、より強い成果を生む。

理事会は機会に対して慎重に動き、合意形成に時間をかけることがある。意思決定が下る頃には、状況が変わっているかもしれない。先行して動く者は優位を獲得し、後発はそれを取り逃す。合意を求める姿勢は、よりよい選択につながる生産的な摩擦を阻むことがある。

この力学は、セクターを問わず存在する。どのリーダーシップチームも、何を犠牲にしているかに気づかぬまま、正確性よりコンセンサスを優先し得る。

全員が同意したときに立ち止まる

いまの私にとって、完全な同意は「何かがおかしい」ことを知らせる最も確かなシグナルである。リーダーシップチーム全員が、1つの質問や異論もなくうなずいているとき、私は高度な警戒態勢に入る。なぜなら私は部屋で最も賢い人間ではないし、そのつもりで動くべきでもないと分かっているからだ。

意思決定の場に、意図的に反対意見のための余地をつくることを学んだ。議論の前に、誰かに「悪魔の代弁者」という役割を公に割り当てることもある。前提に疑問を投げかけることが、その人の明確な責務だと全員が理解していれば、人は防御的になるよりも好奇心をもって応じる。

また別のときには、戦略セッションに挑発的なアイデアを持ち込み、思考を深めるきっかけをつくる。ある戦略計画のセッションで、私は開発部門を廃止し、資金調達を全面的にやめようと提案した。最高執行責任者はいまも数カ月後になってこの場面に言及するが、その不快感が収益モデルに対する分析を鋭くし、これまで一度も疑わなかった前提を点検させた。

狙いは、人が惰性で進められないだけの攪乱をつくることだった。持続可能性と成長について、私たちは異なる発想で考える必要があった。

人々が口にしないことを浮かび上がらせる質問

時間をかけて、隠れた懸念を確実に表に出す質問がいくつかあると分かった。

「私たちは、どんな会話をしていないのか?」この問いは、持ち出すのが危険だ、あるいは居心地が悪いと感じられるテーマに触れる許可を生む。

「もし恐れがなかったら、何をするか?」これは議論を制約から可能性へと組み替え、戦略以上に恐れが意思決定を動かしていることをしばしば露わにする。

「すべてが完璧に進んだら、どんな姿になるか? これが完全に失敗したら、どんな姿になるか?」両極端を想定することで、人々は過小評価していたり見落としていたりする懸念を言語化しやすくなる。

難しい議論の終盤では、ボディランゲージと、発言していない人に注意を払う。誰かが黙り込んでいる、あるいは閉じているように見えたら、休憩中に個別に話せる余地をつくる。1対1の時間からは、グループの場では出てこない懸念が浮かぶことが多い。

議論を促すときに必要な調整

議論を無理に引き出すには、調整が必要だということも学んだ。私が明らかに強い関心を持つテーマを強く押しすぎると、人は私がすでに結論を出していると思い込み、正直な議論が封じ込められてしまう。会話がプロジェクトではなく個人の問題に見えると、人はアイデアを批判的に検討するよりも、人間関係を優先する。

恵まれない地域社会に奉仕し、スポーツを通じて少女たちに力を与えることへの私の情熱はよく知られている。意思決定がその領域に触れるときは、私の好みを強く示しすぎないよう、とりわけ注意しなければならない。さもなければ、チームは自分たちが信じることではなく、私が聞きたいと思っていることを言うようになりかねない。

リーダーは、反対意見のための本物の心理的安全性をつくらなければならない。そのためには、妥当な懸念が示されたときに考えを変える覚悟が要る。

よりよい思考を支える仕組みを構築する

財務の透明性は、私の組織の意思決定を改善するうえで、驚くほど効果的だった。私が全スタッフに詳細な財務報告を共有し、その読み方を教え始めると、思考の質が変わった。人々は自部門を守ることに焦点を当てた欠乏マインドで動くのをやめ、組織全体の健全性についてより戦略的に考え始めた。

前提ではなく知識に基づいて動けば、選択は変わる。自己防衛ではなく、イノベーションとインパクトに集中するようになる。

また私は、意思決定を評価する際、成功したかどうかだけでなく「学び」を基準にするという文化的規範を確立した。あらゆる振り返りは、1つの問いに集約される。「何を学んだか?」それは、想定外の結果をもたらすアプローチに挑戦することへのスティグマを取り除き、学びこそが進歩を動かすと再確認させる。

重要な「人間」の要素

意思決定への関わり方を左右する現実として、見落とされがちなものがある。個人の事情は、職業上のリスクテイクに影響する。複雑な家族の状況に向き合っている、あるいは大きな経済的プレッシャーを抱えているチームメンバーは、心理的安全性が確保されていても、意思決定に異議を唱えることをためらうかもしれない。リーダー自身についても同じことが言える。

この力学が存在しないふりをするのではなく、認めることは、正直な文化を築く一部である。私が弱さを見せ、誤りを率直に認め、自分の考えに挑むことが誰かの立場を脅かすのではなく強めるのだと示すとき、チーム全体にも同じことをする許可が与えられる。それこそが、正直な対話が実際に築かれる基盤である。

チームを支えることと、チームに挑戦を促すことは両立する。強いリーダーシップとは、その両方を言い訳なく抱え、同意のための同意が、その瞬間は心地よくとも、長期的にはすべてを失う代償になり得ることを認識することだ。

forbes.com 原文

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