北米

2026.03.21 10:09

2025年のNIH研究助成金、全米経済に940億ドルの波及効果

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米国立衛生研究所(NIH)からの研究助成金は2025年、全米で941億5000万ドル(約14兆1200億円)の新たな経済活動を生み出し、投資1ドルあたり2.57ドルのリターンをもたらした。

この数字は、研究大学、医療機関、高等教育団体で構成されるNIHの支援団体連合United for Medical Researchが昨日発表した新たな分析によるものだ。

報告書によると、2025会計年度には全米50州とコロンビア特別区の研究者に365億8000万ドル(約5兆4900億円)が交付された。この資金により39万863人の雇用が支えられたほか、新たな機器や研究用品の購入、維持管理、その他のサービスが可能となった。

今回の報告書にはツールキットが付属しており、各州のNIH助成金総額、創出された雇用、その結果生み出された経済活動の全体像を確認できる。州別プロファイルには、各州でNIH助成金を最も多く受けている機関名も記載されている。

United for Medical Researchのケイトリン・リーチ会長はニュースリリースで次のように述べた。「昨年は資金面での混乱があったにもかかわらず、NIHの研究は全米の患者とコミュニティに並外れた価値を提供し続けた。投資対効果は明白だが、そのリターンを維持するには、NIHへの強力かつ安定した資金提供が必要だ」

UMRの経済効果の試算は、各会計年度に交付された研究助成金がその同じ年度内に経済全体に浸透するという前提に基づいている。データは、経済分析局が管理する地域産業連関モデリングシステムの最新推計値を用いて算出されている。

全州が恩恵を享受

NIHは依然として世界最大の生物医学研究の公的資金提供機関であり、NIH研究資金の投資対効果によってすべての州の経済が大きく押し上げられた。カリフォルニア、マサチューセッツ、ペンシルベニア、ニューヨーク、テキサスの5州では、各州の機関に交付された助成金により、それぞれ2万人以上の雇用が創出された。この5州はいずれも、NIH助成金による経済活動の総額が50億ドル(約7500億円)を超えた。

全米では39州がNIH助成金により少なくとも1000人の雇用を創出した。小規模な州も大きな恩恵を受けている。メイン州では経済活動の総額が2億8000万ドル(約420億円)、アイダホ州では1億2500万ドル(約188億円)に達した。ネバダ州とニューハンプシャー州では、それぞれ1000人以上の雇用が創出された。

連邦政府の政策変更、トランプ政権による助成金抑制の試み、複数の主要大学への資金提供に対する法的脅威など、さまざまな動きがあったにもかかわらず、2025会計年度のNIH資金総額は2024会計年度より約3億6000万ドル(約540億円)減少したにとどまり、減少率は約1%だった。

2025会計年度の大きな違いは、NIHが助成金の資金配分方法を変更した点にある。複数年助成に紐づく資金を毎年分割して支出するのではなく、多くの助成で総額を前倒しで一括計上した。その結果、2025会計年度に資金提供された助成金件数は2024会計年度より5564件少なくなり、8.6%の減少となった。

研究者が助成金を獲得できる採択率は約17%に低下し、過去30年近くで最低水準となった。前年の26%、2023年の30%から大幅に下落した形である。

19州とコロンビア特別区では、各州の機関が受けた助成金件数が10%以上減少した。そして苦い皮肉とも言えるが、助成金件数の減少率が最も大きかった上位10の管轄区域のうち9つは、2024年大統領選挙でドナルド・トランプに投票した州だった。

10年間の経済効果

報告書によると、NIHの研究助成金は過去10年間で8220億ドル(約123兆3000億円)を超える新たな経済活動を牽引し、370万人以上の雇用を支えてきた。

リーチ会長は次のように付け加えた。「世界の競合国が生物医学研究への投資を加速させている今、米国は後れを取るわけにはいかない。NIHは米国の生物医学イノベーション・エコシステムの基盤であり、発見を推進し、地域経済を強化し、進歩を待ち望む患者に新たな治療法や治癒をもたらしている」

forbes.com 原文

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