アジア

2026.03.21 09:21

キューバの電力網崩壊が示す中央集権型インフラの限界、ビットコインによる解決策

AdobeStock

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3月上旬、キューバの電力網が崩壊し、数百万人が突如として停電に見舞われた。家庭では冷蔵機能が失われ、給水ポンプは停止し、ハバナの広い範囲が暗闇に沈んだ。停電の引き金となったのは、国内最大級の発電所の1つであるアントニオ・ギテラス火力発電所での停止だ。ボイラーの不具合で運転継続が不可能となり、同発電所は系統から外れた。

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停電は島の広い範囲に及び、西部のピナール・デル・リオから中部のカマグエイにかけて広がり、数百万人が電力を失った。ピーク時には島の発電能力の半分超が失われ、国土の大部分が数時間にわたり停電した。

多くのキューバ国民にとって、その影響は即時かつ身体的だった。食料は傷み、公共交通は停止し、病院は非常用発電機に頼った。この停電は、エネルギーシステムが中央集権的であると、単一の技術的故障が国全体へと連鎖し得るという、より深い構造問題を露呈している。停電は、個々の構成要素が故障した際にインフラがいかに安定を保てるのかという、世界のエネルギーシステムに共通する重要な問いを突きつける。

中央集権型エネルギーの構造的リスク

キューバのエネルギー危機は長年にわたって積み上がってきた。国内の電力インフラの多くは数十年前に遡り、燃料不足が繰り返し電力網を崩壊寸前へ追い込んできた。こうした脆弱性は、米国の制裁や石油供給の制約、とりわけベネズエラからの出荷削減や、他の供給国に対する関税の脅しによって悪化している。これにより燃料の入手が困難になり、電力網は繰り返しの崩壊に一層近づいた。

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同時に、島は長年にわたり、火力発電所を稼働させるための輸入石油に依存してきた。燃料供給が逼迫する、あるいはインフラが故障すると、システムの安定を保つための代替電源はほとんどない。

この脆弱性は、中央集権型エネルギーシステムに共通する特徴である。発電が少数の大規模発電所に集中し、それらが単一の国家送電網で結ばれている場合、技術的故障はネットワーク全体へ波及し得る。

キューバでは停電がますます頻発しており、2024年以降も国の広い範囲に影響した一連の停電が起きている。これは、経済的圧力の下で老朽インフラを維持することの難しさと、システムの脆さを示している。

報道によれば、キューバでは2024年に少なくとも5回の全国規模の大停電が発生し、2025年にはさらに3回起きた。これらが重なり、2026年3月の停電では数百万人が電力を失った。世界銀行のデータによれば、キューバの1人当たり電力消費量は2019年の1450kWhから、(最新値である)2022年には1102kWhへ低下しており、世界平均の約3670kWhを大きく下回る。これは、こうした混乱の最中にインフラへ負荷がかかっていることを反映している。

分散型エネルギーが前提を変える理由

真の解決策は、異なるエネルギーのアーキテクチャを構築することにある。分散型エネルギーシステム、とりわけ太陽光、風力、水力で稼働する地域のマイクログリッド(独立型小規模送電網)は、主系統が停止しても独立して運用できる。単一の国家システムに依存するのではなく、コミュニティが地域で電力を生み出し、管理できるようになる。

アフリカで再生可能エネルギー駆動のビットコインマイニング用マイクログリッドを構築する企業Gridlessの最高執行責任者(COO)であるジャネット・マインギ氏は、キューバの停電から得られる教訓は明白だと語る。

「レジリエント(強靭)なエネルギーシステムには、分散型の再生可能エネルギーと、柔軟な需要の双方が必要だ。Gridlessのようなモデルは、需給をリアルタイムで均衡させ、広域の送電網障害リスクを低減できる」

マイナー(採掘事業者)は大量の電力を消費するが、特異な性質が1つある。機器を損傷したり、他のシステムを妨げたりすることなく、ほぼ即時に停止できるのだ。こうした柔軟な負荷は、供給が多いときに余剰電力を吸収し、需要が高まると消費を抑えることで、送電網の安定化に寄与する。

マインギ氏はさらにこう付け加える。「単一の発電所の故障で国家送電網が停止し得るという事実は、中央集権型システムがいかに脆いかを示している。太陽光のような分散型再生可能エネルギーと、柔軟な需要を組み合わせれば、供給を安定化し、エネルギーシステムをはるかに強靭にできる」

実務的にいえば、マイナーは送電網の安定化に寄与し得る。とりわけ太陽光や風力など、出力が変動する再生可能エネルギーで動く送電網において有効だ。

「最後の買い手」としてのマイニング

途上国経済にとって、マイニングが果たし得る最も重要な役割は経済面にある。再生可能エネルギーのプロジェクトは、発電した電力に即時の需要がない場合、資金面で苦戦しがちだ。たとえば太陽光発電所は、日中に余剰電力を生み出しても、それを蓄電も販売もできないことがある。

ビットコインのマイニングは、その電力に対する「最後の買い手」を生み出す。需要が低いとき、マイナーは本来なら捨てられる余剰エネルギーを消費できる。需要が高まれば、停止して電力を送電網へ戻せる。

現実の事例は、すでにこのモデルが機能し得ることを示している。ザンビアの農村部では、Gridlessが再生可能エネルギー駆動のマイクログリッドを運用しており、ビットコインのマイニングが余剰の水力発電を収益化している。これにより、それまで電力がなかった遠隔コミュニティに、手頃な電力がもたらされている。同様のモデルは、テキサス州でより大規模に見られる。マイニング事業が余剰の風力・太陽光電力を吸収し、ERCOT(テキサス州電力信頼度協議会)の送電網の需給バランスを支え、出力抑制の削減に寄与している。

ビットコインのマイニングは、行き場のないエネルギーや出力が断続的なエネルギーを経済資産へと転換し、資源制約のある環境でも分散型システムの展開を加速させ得る。課題としては初期費用などが挙げられるが、カリブ海地域のレジリエンス・プログラムのような取り組みは資金調達の道筋を提供する。

この経済的な下支えは、従来型の送電網インフラが脆弱または信頼性に欠ける地域でも、小規模な再生可能エネルギー・プロジェクトを採算に乗せ得る。言い換えれば、エネルギー生産はもはや中央送電網のみに全面依存する必要はない。

インフラと主権

キューバの停電は、エネルギーインフラが国家の強靭性をいかに形作るかを示している。それは経済の安定、政治的独立、日常生活に影響する。発電が中央集権型システムに依存している場合、故障の帰結は迅速かつ広範に波及する。エネルギーシステムが分散し、地域で管理されるとき、コミュニティはより高い強靭性と、より大きな自律性を得る。

欧州ビットコインエネルギー協会の議長であるレイチェル・ガイヤー氏は、再生可能エネルギーへの移行が、送電網により高い柔軟性を迫っていると語る。同氏はForbesに対し、「2030年までに再生可能エネルギー比率を少なくとも42.5%にするという欧州の目標は、エネルギーシステムがはるかに柔軟にならなければ達成できない。再生可能電力が豊富なときには使用量を増やし、送電網が逼迫しているときには減らせるビットコインマイナーは、欧州のクリーンエネルギーの未来の需給バランスを支える強力なデマンドサイド(需要側)ツールになり得る」と述べた。

課題が中米、アフリカ、米国、欧州のいずれで現れようとも、根底にある問題は同じである。エネルギーシステムは、より柔軟に、より分散し、単一障害点への依存を減らさなければならない。

同じ原理は、資金と情報にもますます当てはまる。エネルギーネットワーク、デジタル検証システム、あるいはビットコインのような通貨ネットワークに至るまで、分散型プロトコルに基づくシステムは、「信頼」を、誰もがアクセスできるオープンで検証可能なインフラへ置き換えることで、単一の権威への依存を下げる。

送電網が止まり、制度が揺らぎ、情報への信頼が圧力にさらされる世界において、そのアーキテクチャの転換は、これまで以上に重要になるかもしれない。エネルギーのレジリエンスと通貨のレジリエンスは、単一障害点に依存しないシステムを構築するという同一の原理に、いっそう依拠していく可能性がある。

forbes.com 原文

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