米海軍の現役最古の超大型空母が、今年5月に予定していた退役を延期することとなった。とはいえ、原子力空母「USSニミッツ(CVN-68)」が再び遠洋に配備される可能性は低い。むしろ、米東海岸沖での訓練任務に充てられる見込みのほうが高そうだ。
予定変更の理由は、単に米国の法律にある。少なくとも、米軍を統括する主要な法令の一節に基づいているのは確かだ。合衆国法典第10編「軍隊」第8062条は、米海軍が少なくとも11隻の艦隊運用可能な空母を常に保有することを義務付けている。
第2次世界大戦中に米太平洋艦隊の司令官を務めたチェスター・ニミッツ提督にちなんで命名された空母ニミッツは、2025年に就役50周年を迎えた。米海軍の通常動力型空母キティホーク級を補完する目的で開発された新型原子力空母のネームシップ(1番艦)で、1976年5月3日にジェラルド・R・フォード大統領(当時)の下で就役した。
ニミッツは現在、退役に向け航行中
ニミッツは3月7日、米西海岸北部のワシントン州ブレマートンにあるキトサップ海軍基地を出港し、東海岸のバージニア州ノーフォーク海軍基地への母港移転の航海を開始した。これは、退役とその後数年かけて行うリサイクル作業に向けたプロセスの第一段階である。
ニミッツはパナマ運河を通過するには艦体が大きすぎるため、太平洋を南下して南米最南端のホーン岬を経由し、大西洋へ出てからノーフォークへと北上する遠回りの航路をとる。1万2400海里の航海には2~3週間かかる見通しで、ノーフォーク到着は4月上旬~中旬を見込んでいる。
しかし、米軍事専門メディアのブレーキング・ディフェンスは3月14日、ニミッツの退役が来年まで延期されたと報じた。
米海軍空母11隻の維持
米海軍がニミッツの退役を予定通りに行うと、艦隊運用可能な原子力空母は10隻しか残らない。退役の先送りは、唯一の選択肢だった。
英インテリジェンス企業シビライン(Sibylline)の米州担当主任アナリスト、ルイス・ガルビンはこう説明する。「何よりもまず、米国は少なくとも11隻の空母を含む現役艦隊を維持することが法律で義務付けられている。ニミッツの就役期間延長は、この要件を満たすための対応の一環である可能性が高い」



