現役最古の空母は、昨年12月に本来なら最後の配備となるはずだった任務を終えたばかりだ。したがって、今後さらなる長期展開があるとは考えにくいが、必要に応じて予備戦力として配置される可能性はある。
「ニミッツが、ベネズエラやキューバといった西半球における危機対応や外交支援のために即応態勢を維持するとしても驚かない」とサドラーは言う。「そうすれば、他の空母はより遠方の中東や東アジアでの長期的な展開に充てることができる」
この見解はシビラインのガルビンも共有している。ニミッツを現役に据え置けば、世界のどこかで予期せぬ紛争が発生した場合、そこに別の空母を向かわせる選択肢が米国に生まれるとガルビンは示唆する。
「現在、米海軍の空母艦隊は著しく手薄な状況にある。展開可能なのはジェラルド・R・フォード、エイブラハム・リンカーン、ジョージ・ワシントンの3隻のみだ。フォードはすでに通常の展開期間を超えて運用されており、USSジョージ・H・W・ブッシュの準備ができ次第、交代する可能性が高い」
ニミッツには中東で大規模な戦闘作戦に参加する用意はないだろう。それでも、必要になれば米国にほど近い海域での戦闘任務は遂行できる。「ノーフォークへの航海中、米国が麻薬カルテルを相手に実施中の作戦や対キューバ交渉を念頭に置いた戦力投射として、ニミッツがカリブ海に展開される可能性は現実にある」とガルビンは指摘した。
リサイクル工程に大きな影響はない
退役の1年延期は、ニミッツのリサイクル工程にはほとんど影響しない見通しだ。米防衛造船大手ハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)のニューポート・ニューズ造船所には、追加の準備時間が与えられる。ニミッツのリサイクル作業は完了までに10年以上かかるとみられ、初期作業の多くは乗組員が担当することになる。
「正直なところ、乗組員たちは造船所に入らずに済んで喜んでいるはずだ。造船所にいると生活の質や使命感が大きく損なわれるからだ」とヘリテージ財団のサドラーは語る。
世界を守る任務に代わり、退役プロセスでは兵器をはじめとする装備の荷下ろしが行われ、作業完了には1年以上かかると見込まれている。
「ノーフォークへの母港移転は1年かけて計画されてきたものであり、影響は最小限に抑えられるはずだ。造船所側もすでに対応をとっているだろう」とサドラーは説明。退役延期により「造船所にとっては、ニミッツの廃炉に向けた準備により多くの時間をかけられる。ニミッツ級空母の退役は今回が初めてだ。その原子炉の解体という新たな課題が造船所の技術者たちに突き付けられている」と語った。


