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2026.03.21 09:00

金は再び輝きを取り戻すか? 有事に異例の下落、だが長期的な上昇要因は不変

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地政学的な緊張が高まったときには、普通、金(ゴールド)価格はたちまち急騰すると考えられる。戦争が起こり、市場がパニックに陥ると、投資家は安全資産に殺到する。その結果、金は急激に値上がりする──というわけだ。

これは実際、歴史的にみられてきた動きでもある。ところが、この2週間は逆の現象が起こっている。

中東での激しい交戦にもかかわらず、金価格は上昇の勢いを欠き、直近の高値からやや下落してさえいる。そこで疑問が生じる。なぜ金はいま、典型的な「安全資産」にみられるような値動きを見せていないのか。

答えは、原油、金利、そして米ドルと関係している。

石油ショックで動揺する市場

ペルシャ湾で船舶が攻撃され、世界の石油流通が深刻な混乱に見舞われたことを受けて、ブレント原油は3月12日、1バレル100ドルの大台を超えて取引を終えた。これは2022年以来のことだった。国際エネルギー機関(IEA)のリポートによると、今回の軍事衝突は石油市場で史上最大の供給混乱を引き起こしており、ホルムズ海峡を通る輸出は通常の水準から激減している。

これが非常にゆゆしい事態なのは、世界の石油海上輸送のおよそ4分の1がホルムズ海峡を通過するからだ。現在のように輸送量が急激に減少すると、エネルギー供給全体がほぼ即座に逼迫してしまう。

しかも、読者の多くもご承知のように、石油ショックがエネルギー分野だけにとどまることはめったにない。インフレ予想、金利、さらには為替市場などへ急速に波及していく。これは、まさにいま、わたしたちが目の当たりにしていることだ。

ガソリン以上に経済への影響が大きいディーゼル燃料

現在の紛争による経済面の影響の大半は、必ずしもガソリンに結びついたものではない。むしろディーゼル燃料(軽油)と関連している。

ディーゼル燃料は、貨物輸送から農業、建設、鉱業まで幅広い分野の動力源になっているからだ。アナリストらの推定によれば、ホルムズ海峡周辺での混乱の影響で、ディーゼル燃料の供給は1日あたりおよそ300万~400万バレル失われている可能性がある。これは世界全体の消費量の最大12%に相当する量だ。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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