米国の財政悪化に拍車がかかる懸念
もうひとつの重要な要因は米国の財政状況だ。
米国は、39兆ドル(約6200兆円)に迫る政府債務を抱えた状態でイランに対する攻撃に乗り出した。米議会の合同経済委員会によると過去1年、この額は1日70億ドル(約1兆1000億円)超のペースで拡大している。財政赤字も依然として巨額で、歳入に占める利払い費の割合は高まり続けている。
こうした財政状況が政策当局の柔軟性を制約するのは明らかだ。
イランに対する攻撃にかかっている費用も莫大だ。米国防総省の見積もりによると最初の1週間だけで110億ドル(約1兆7000億円)に達した。紛争がさらに激化したり長引いたりすれば、財政への圧力はますます高まるに違いない。
歴史的にも、債務の増大と地政学な不確実性が重なる時期には、最終的に金価格が押し上げられる方向に動いてきた。
金相場の軟調は一時的かもしれない
投資家にとって重要なのは、短期的な市場動向と長期的なファンダメンタルズ(基礎的条件)を区別することだと筆者は考える。
短期的には、原油価格の上昇が債券利回りとドルを押し上げ、それによって金に下押し圧力がかかっている。しかし、通常であれば金を支える基本的な要因は、なおしっかり残ったままだ。
この紛争が続き、インフレが高止まりし、財政圧力が強まっていけば、金の長期的な投資妙味はむしろ一段と高まるのではないか。
金が依然として1トロイオンス5100ドルを下回って取引されている(編集注:米国時間19日には一時4500ドル台まで下落した)現状を踏まえると、いまは買い増しの好機かもしれない。筆者はかねてポートフォリオの10%を金に配分することを推奨しており、内訳は金地金と優良な金鉱株に5%ずつ振り向けることを勧めている。定期的にリバランス(配分調整)するのも忘れないようにしたい。


