マーケット

2026.03.21 09:00

金は再び輝きを取り戻すか? 有事に異例の下落、だが長期的な上昇要因は不変

Shutterstock

ディーゼル燃料は経済全体に深く組み込まれているので、その価格が上昇すると、商品の輸送コストや食料の生産コストが押し上げられることになる。その結果、広範なインフレ圧力がエネルギー分野をはるかに超えて広がっていく。これは4年前、ロシアがウクライナ全面侵攻を始めた時にもみられた現象だ。

advertisement

金利の上昇が金価格の重しに

債券市場も反応している。米連邦準備制度理事会(FRB)はこれまでの想定よりも長く高金利を続けざるを得なくなるとの見方が強まり、米国債利回りは上昇している。

このコラムでもいくどとなく説明してきたとおり、利回りの上昇は短期的には金にとって逆風になる。

ご存じのとおり金には利息もつかないし、配当も生まない。だから債券利回りが上昇すると、投資家は一時的に金保有への意欲を削がれることがある。また、金利上昇はドルを押し上げる傾向にあり、これも金価格の重しになる。

advertisement

今回の武力紛争が始まって以来、起こっているのもそれだ。ドルが上昇する一方、金価格はじりじりと下落しており、伝統的に安全資産と目されてきた2つの資産は対照的な値動きになっている。

スタグフレーションのリスク

とはいえ、より広範なマクロ経済環境は、金の安全資産としての魅力をさらに増す方向に移りつつあると筆者はみている。

エネルギー価格が高止まりすれば、世界経済は成長の鈍化と持続的なインフレが同時に進む局面に直面する可能性がある。これは「スタグフレーション」の一般的な定義にあたる。

英調査会社オックスフォード・エコノミクスのリポートによると、同社のモデルでは、原油価格が2カ月にわたり1バレル140ドルを上回って推移した場合、世界の経済成長は停滞し、インフレ率は6%近くまで急上昇する可能性があることが示されたという。

付言しておくべきなのは、同社のアナリストらによればこれはあくまで最悪のシナリオであり、実際にそうなる確率は低いということだ。一方で、歴史的に見れば、この種の危機が、市場のボラティリティー(変動性)を高め、投資家に従来のポートフォリオ戦略の見直しを迫るような状況を生み出してきたのも確かだ。そして、こうした状況では実物資産、なかでも金は魅力的に映ると筆者は考えている。

次ページ > 長期的に見ればいまは金の買い場かもしれない

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事