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2026.03.22 07:00

中東情勢混乱でロシアはクーデター懸念、カタールのLNG生産停止は世界に影響

ロシア首都モスクワ中心部の赤の広場(Getty Images)

本稿のもう1つのテーマは、イランの報復攻撃の標的となっているカタールだ。最近、世界最大級の液化天然ガス(LNG)生産拠点である、カタール北部のラスラファンが標的となった。カタール製の石油化学製品は、種類と量の両面で世界の需要を満たしている。同国はアルミニウムをはじめ、尿素やヘリウムといった重要な原料を輸出している。この供給が途絶えれば、例えば、戦略備蓄が存在しない肥料の供給に深刻な影響を及ぼすことになる。一度植え付けの時期を逃してしまうと、その年の農業生産は肥料なしの状態のまま1年が過ぎることになる。

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カタールはまた、メモリーチップ製造の冷却に使用されるヘリウムの世界全体の需要の3分の1強から半分程度を供給している。同国産のヘリウムは、韓国半導体産業の需要の約65%を占めている。韓国は2022年、世界全体のメモリー製造の約6割を占めた。人工知能(AI)需要の高まりにより、こうしたチップの価格は今年に入って約400%上昇している。

コンピューターや自動車、カメラ、冷蔵庫などに搭載される一般的なダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー(DRAM)の製造に必要なヘリウムの在庫は、カタールによる継続的な供給がなければ、数週間分しか残っていない。つまり、向こう数週間のうちに米国はヘリウムの供給を大幅に増やさなければならない。現在、米国は世界のヘリウム総生産量の4割以上を占めているが、半導体製造の主導的立場にある韓国に輸出しているわけではない。実際、米国もカタールからヘリウムを輸入しているのが現状だ。

では、カタール産のLNGが世界的に不足する事態を想定してみよう。新旧を問わず、ほぼ全ての家電製品の価格が急騰する。中古品の需要も高まることから、価格が高騰するのだ。コンピューターチップを使用しているあらゆる製品は、一時的に代用が効かなくなるだろう。ボイラーから発電所に至るまで、安全面での影響は想像を絶するものだ。いずれ他のヘリウムの供給源が見つかることは間違いないが、それはいつになるのだろうか? 中国はヘリウムの代替供給源ではあるが、そうなれば世界は同国の意向に左右されることになる。

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さらに、経済や株式市場への影響も懸念される。現在、イラン情勢を巡るインフレ懸念から、米国の株価指数は下落している。しかし、近年の市場統計をけん引してきたAI景気への影響が最も大きいだろう。その結果、米国による軍事作戦に対してさらなる政治的圧力がかかることになり、それによってイランとその同盟国、すなわちロシアや中国が短期的・中期的に極めて大きな影響力を持つようになるだろう。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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