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2026.03.22 07:00

中東情勢混乱でロシアはクーデター懸念、カタールのLNG生産停止は世界に影響

ロシア首都モスクワ中心部の赤の広場(Getty Images)

ロシア首都モスクワ中心部の赤の広場(Getty Images)

世界はイランを巡る情勢の混乱で重大な転換点を迎えており、霧が晴れるような最新情報が切実に求められている。本稿では、これまで見過ごされてきた問題と、それが世界に及ぼす影響について取り上げる。

まずは、ロシアの首都モスクワで最近起きた不可解な出来事から見ていこう。モスクワではクーデターや反クーデターの動きに関する漠然としたうわさが飛び交う中、ロシア大統領府(クレムリン)は突如、一般市民や軍関係者に対するソーシャルメディア(SNS)やメッセージアプリの全面的な遮断を加速させ始めた。内務省の部隊は2日間にわたり装甲車で市内を巡回し、威嚇するような態度を見せながらマンホールのふたの下を点検した。

一体、ロシアで何が起きているのか? 同国の情報筋によると、これはクーデターを未然に防ぐためではなく、米イスラエル軍によるイラン攻撃からの教訓と、ウクライナがモスクワに対してドローン(無人機)を集中投入できるようになったという2つの展開を踏まえ、通信上の脆弱(ぜいじゃく)性を排除することが目的だという。

クレムリンは、イスラエルが一見安全そうに見える地下ケーブルのネットワークをハッキングしてイラン指導部の内部通信を傍受し、さらにイランの首都テヘランの街路の至る所に設置された監視カメラを通して、移動する標的の位置を特定していた様子を目の当たりにした。米イスラエル軍がイランへの攻撃を開始した当初から、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は自国の通信の安全性について次第に強迫観念を抱くようになった。クレムリンは全国規模でインターネット通信の制限を開始した。

クレムリンはこれまで、イスラエルがウクライナに専門知識を提供するのではないかと懸念する理由はなかった。だが、状況は一変した。ロシアはペルシャ湾やホルムズ海峡などの戦略的拠点をイランが精密に攻撃できるよう支援しており、それによって米国の軍事作戦を阻害していると一般的に考えられている。この事態にイスラエルは怒りを募らせている。それがロシアを不安にさせているのだ。

実際、ロシアの著名な評論家ニコライ・ミトロヒンは、次のように説明している。「イランの最高指導者アリ・ハメネイ師が明らかに通信傍受情報を通じて暗殺の標的とされたことを受け、プーチン大統領は自身が追跡される可能性のある全ての電波を遮断するよう命じたほど、恐怖に駆られている」

そのため、イランの指導部に起きたような事態がモスクワでも起こりかねないという危険性が突如として浮上してきた。特に、ウクライナの無人機がモスクワに大量に到達できるようになった今となってはなおさらだ。そのため、モスクワでは厳しい通信制限が実施され、内務省の部隊による地下ケーブルの点検も行われている。ロシア国内では経済が低迷し、ウクライナへの軍事作戦が行き詰まり、同国の無人機による攻撃が遠隔地にまで及ぶにつれて国民の不満が高まるなど、プーチン政権の立場は揺らいでいる。

要するに、最近モスクワの街頭で見られる内務省の活動や、あらゆる通信の検閲は、クレムリンの上層部によるクーデターへの懸念というより、むしろイスラエル、イラン、ウクライナとの関連が深い。とはいえ、一方がもう一方につながる可能性はある。クレムリンの上層部が、指導者が暗殺される恐れを懸念し始めているとしたら、何らかの策を練り始めている可能性が高い。内務省による威嚇的な行動は、イランから影響を受けないようにという、クレムリン上層部や国民に対する、ある種の警告となっている。

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翻訳・編集=安藤清香

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