キャリア

2026.03.20 08:53

キャリアは階段ではなく迷宮である

AdobeStock

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「企業の出世階段を上れ」と言われたことがあるなら、時間と労力を節約させてほしい。階段など存在しない。

リーダーシップへの道は企業という迷宮である。回り道、横移動、リスク、挫折、そして意外な転機が入り組む迷路だ。

今の私を知る人には意外かもしれないが、私のキャリアは神学校の学生として始まった。そこからフードサービス、製薬営業、トレーニングマネージャー、マーケティング、財務、事業開発、オペレーションを経て、最終的にCEOに就任した。直線的な道のりなど、どこにもなかった。紆余曲折と、少しばかりの粘り強さがあっただけだ。

階段という比喩は、進む方向が1つで、段階が予測可能な順序で並ぶことを前提としている。しかし人生は、予測可能とは真逆である。勤め先が買収され、ポジションが消えることもある。実際、私も一度経験した。

企業という迷宮は、適応を迫り、新たなスキルの習得を促し、機会が現れたときにそれを見抜かせる。たとえ最初は機会に見えなくてもだ。むしろ、時にそれは行き止まりのように見える。

では、どう進めばよいのか。始まりは「挑戦してみる」ことである。

より多くの挑戦をする

最大級の回り道の1つは、キャリアの「後半」に訪れた。当時私は商業オペレーションを統括しており、自分をどちらかといえば「営業畑の人間」だと考えていた。実際、ある時期までは直販のまま一生を終えてもよいと思っていたほどだ。

ところが、血漿(けっしょう)オペレーションを任され、事業の「原材料」側を監督することになった。最初の反応は「何かを爆発させてしまいそうだ」だった。自分の世界ではなかったのだ。

同時に、私は機会も見た。ゼロから何かをつくり上げ、内側にいる小さな起業家精神を満たせるチャンスだ。だから挑戦した。振り返れば、それはCEOになるための最も重要なステップの1つだった。事業に対する視野が広がり、コンフォートゾーンの外でもリードできることを証明する機会になった。

周囲に自分へ賭けてもらいたいなら、まず自分自身にもっと賭けなければならない。

行き止まりから学ぶ

階段の頂上で行き止まりに突き当たれば、選択肢は降りることしかない。だが迷宮では、行き止まりでさえ機会になり得る。消去法で学び、「なるほど、あの道はうまくいかなかった。でも、ここには試せる道があと2つある」と言えるようになる。

そのためには、周囲を見回し、よりよい問いを立て、時にリスクや不確実性がありそうな脇道を選ぶ必要がある。なぜなら、多くの場合、その回り道こそが、あなたを必要な場所へ正確に導く道だからだ。

多くのCEOは、いわゆる出世階段の頂点に到達した後、行き場を失って停滞する。景色は思っていたほど素晴らしくない。

しかし企業という迷宮では、そうはならない。終点に着いても、それは真の終わりではない。新しい形で他者に貢献できる「新しい世界」を自分のために開いたのだ。あなたの紆余曲折の道は、次の誰かにとって前へ進むための道しるべになり得る。

企業という迷宮を受け入れる

教訓はシンプルだ。階段に執着するのをやめよ。階段はあまりに簡単に倒れてしまう。代わりに、企業という迷宮を受け入れ始めることだ。キャリアの紆余曲折を挫折だと捉えるのをやめよ。訓練の場だと捉え直すのだ。

価値観を羅針盤にせよ。そうすれば、階段の上では決して描けなかった機会が見つかる。そして、その価値観が何なのかまだ確信がないなら、それを見極めるための厳しい作業が必要だ。

奉仕から始めよう。他者に対して開かれた手で生きるようになれば、出世階段の段にしがみつく固い握りを手放せる。

自分に問いかけてほしい。「奉仕とは私にとって何か。今日、私が他者に奉仕するとは、どのような姿か」

そして、企業という迷宮を進むうえで道しるべとなる原則についてさらに知りたいなら、私の新刊The Detour CEOを手に取るか、対話を続けるために立ち寄ってほしい。

forbes.com 原文

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