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2026.03.20 08:48

AI投資ブームで躍進する有望インフラスタートアップの全貌

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AIへの設備投資(capex)ブームは2026年も続く見通しであり、次世代のクラウド、通信、AIインフラの構築を支援する革新的なスタートアップへの関心が高まり続けている。

主要なハイパースケーラーはいずれもcapex予算を増額しており、上位4社(アルファベット、アマゾン、メタ、マイクロソフト)は合算で6000億ドル超をcapexに充てる計画だ。さらにOpenAI、オラクル、イーロン・マスクのxAIといった大手プレーヤーも加えると、AI関連capexの総額は年間約1兆ドルに達する。

このインフラの構築は途方もない仕事である。経済性を伴って実行される必要があり、必要な効率をもたらすのはイノベーションだ。AIデータセンターを支える電力網や冷却システム、コンクリートに加え、テクノロジー――しかも大量のそれ――が存在する。これらのテクノロジースタックは複雑で、ハードウェアの演算能力、ネットワーク、ストレージから、データの移動・保管・保護に必要な複雑なソフトウェアスタックにまで及ぶ。

Futuriomは毎年、クラウドおよび通信インフラ投資を押し上げる数多くのトレンドを深掘りしている。年間を通じて100社を超える顧客企業と非公開企業に会い、顧客課題を満たす最良のプロダクト/マーケット・フィットをどこで見いだせるのかを把握する。2026年版の新しいFuturiom 50レポートには、当社が追跡しているトップの非公開企業に関する詳細に加え、彼らの成功を後押しする主要なクラウド技術トレンドの全容が盛り込まれている。

アーキテクチャ思考における主要な変化

現在のAI投資サイクルがもたらす副産物の1つは、支援インフラのテクノロジーアーキテクチャが急速に変化することだ。以下に、こうしたアーキテクチャの変化と課題を挙げる。

分散型AIアーキテクチャ。歴史的に見れば、技術の変化は演算の集中と分散の間を行き来してきた。例えば、メインフレームからクライアント/サーバーへ移行した際は、集中から分散への転換だった。クラウドコンピューティングはその逆である。現在のトレンドは、集中と分散の双方が同時に広大に分布する方向――データとアプリの完全分散と捉えるとよい――へ向かっている。分散データアーキテクチャをホストし、管理し、オーケストレーションするための新しいインフラが必要になる。

注目企業:Arcee AI、Databricks、Fivetran、Kong、Lamba、MinIO、Nasuni、Redpanda、UnifyApps、VAST Data、VDURA、Vultr、Wasabi、ZEDEDA

よりスマートで高速な接続性。AIの世界が分散化していく性質は、より高速で効率的な接続性の必要性を押し上げる。これが、マルチクラウドネットワーキング(MCN)、Infrastructure as Code(IaC)、NetDevOpsといった、アプリとインフラ間のネットワーク/アプリ接続を自動化しようとするトレンドを生み出している。

注目企業:ネットワーキング分野ではAlkira、Arrcus、Aryaka Networks、Aviatrix、Aviz Networks、Cato Networks、DriveNets、Graphiant、Itential、Netris、Nile、Selector。IaCではPulumiSpacelift

遍在するサイバーセキュリティの必要性。データ、接続性、インフラ展開のスピードが上がるにつれ、遍在的かつ自動化されたサイバーセキュリティモデルの必要性も高まる。ファイアウォールだけではもはや不十分だ。すべてのアプリとアクセスポイントを正確に識別できるゼロトラストモデルを、アプリとインフラに組み込む必要がある。データはエンドツーエンド暗号化で保護しなければならない。それだけではない。Extended Detection and Response(XDR)、Security Information and Event Management(SIEM)、Secure Access Service Edge(SASE)といったサイバーセキュリティのサイロは、単一の分散プラットフォーム上に収れんしていく必要がある。

注目企業:Alkira、Aryaka、Aviatrix、Cato Networks、Eclypsium、Elisity、Exaforce、Fortanix、Index Engines、Stellar Cyber、Teleport、Versa Networks

2025年のFuturiomリストからのイグジット

毎年、前年のFuturiom 50リストを見直すにあたり、昨年の選定が当社のカバーする市場でどのように推移しているかを振り返る。そしてもちろん、依然として勢いがある企業――そしてそうではない企業――の双方に目を配っている。

この1年で、Futuriom 50の選定企業2社が上場を果たした。

CoreWeave(CRWV)のIPOは2025年3月に15億ドルを調達し、本稿執筆時点で年初来の株価上昇率は100%超となった。IPO以降、CoreWeaveはメタとの140億ドル超の大型契約で話題をさらったが、これはCoreWeaveがOpenAIとの数十億ドル規模の契約を拡大した直後のことだった。課題は残るものの、CoreWeaveの成長は驚きと畏敬の念を呼び続けている。

Netskope(NTSK)は9月17日のIPOで9億820万ドルを調達した。同社は、クラウドのポイント・オブ・プレゼンス(PoPs)ネットワークを中核に構築した、完全統合型のSASEソリューションを提供する。Netskope Security Cloudプラットフォームは、ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)を含む幅広いセキュリティ機能へのアクセスを提供する。これらはすべて、企業で需要が高い機能である。総じて、NetskopeのIPOは大きな失望に終わり、初日の取引から株価は50%下落した。株価は直近で11ドル前後で推移していた。この不振は、既存のFuturiom 50リストにある最も近い比較対象であるAryakaCato NetworksのIPO見通しにも、悪影響を及ぼす可能性が高い。

M&Aはどうか?

当社が追跡する企業はM&Aでも常に活発だ。例えば昨年、グーグルはWizを驚異的な320億ドルで買収し、Google Cloudに組み込む取引を発表した(取引はまだ正式にクローズしていないが、近く完了すると見込まれている)。

Palo Alto Networksは2026年初め、元Futuriom 50常連メンバーであるChronosphereを33億5000万ドルで買収し、取引を完了した。AI駆動のセキュリティ運用を強化するため、クラウドネイティブのオブザーバビリティ・プラットフォームを獲得する、相当な金額の買収となった。本稿執筆時点でProsperOpsはFlexeraに買収されたばかりだった。Flexeraは非公開企業で、ProsperOpsは独立性を維持するとしているため、現時点ではFuturiom 50リストに残している。

大型資金調達のニュース

総じて、当社リストの50社は合計で330億ドル超の資金を調達している。過去1年で、当社リストのさまざまな企業が大規模な資金を確保した。

Arrcusは2025年6月に富士通から6700万ドルを調達し、富士通子会社の1Finityと、ネットワーク事業者、企業顧客、データセンター事業者を対象に、日本を最優先に据えつつグローバルに事業を拡大するための共同Go-to-Market計画を策定する契約を結んだ。

CAST AIは2025年4月、G2 Venture PartnersとSoftBank Vision Fund 2が主導するラウンドで1億800万ドルを調達した。その後、評価額が10億ドルを超える非公開のラウンドを2回実施している。同社はAIエンジンを用いてクラウドコストを管理し、主要なハイパースケーラーネットワーク全体でクラウドサービスのコストを削減する方法を特定し、実装することを狙っている。

DriveNetsは、クラウドネイティブのソフトウェアで世界中の複数のTier 1事業者に通信事業者グレードのネットワーキングを提供しており、2025年にはAT&Tによる6億5000万ドルの出資の焦点となった。この動きはDriveNetsの利害関係者にとって追い風であると同時に、AT&Tが重厚なハードウェア依存からソフトウェアベースのネットワーキングソリューションへ移行することに本気である、重要なシグナルでもある。

EnfabricaではCEOのロチャン・サンカールをはじめとするエンジニアが、エヌビディアに引き抜かれた。GPU大手はEnfabricaの技術もライセンスしており、同技術は典型的なNICやPCIeスイッチと比べて、巨大なGPUクラスターをより高い稼働率で接続し、AIジョブの完了時間を短縮する。エヌビディアはこの取引に9億ドルを投じた――Enfabricaを直接買収しないことで、政府監視当局からの厄介な疑問も回避した。

Graphiantは2025年5月、サウジアラムコのWa'ed VenturesおよびSaudi Telecom Co.のTali Venturesから1900万ドルを調達した。Graphiantは、企業WAN、ハイブリッドクラウド、ネットワークエッジ、顧客、パートナーの間に、ポリシー駆動の接続性を提供するプライベートNaaSを展開している。

Spaceliftは2025年7月、シリーズCの資金調達ラウンドで5100万ドルを発表した。ラウンドはFive Elms Capitalが主導し、Endeavor CatalystとInovo VCが参加した。同社は、この投資が「製品イノベーションを加速し、企業での採用を拡大し、AIを活用した自動化を通じて複雑なインフラ管理を簡素化するというコミットメントを前進させる」ものだとしている。

Wasabiは2026年1月、L2 Point Managementが主導し、Pure Storage(現在はEverpureに改称)およびFidelity Management & Research Companyを含む既存投資家が参加する、7000万ドルのエクイティ資金調達ラウンドを発表した。この新ラウンドによりWasabiの評価額は18億ドルとなり、累計調達額は6億ドル超となった。この資本は、AIインフラへの展開を加速し、グローバルでの展開基盤を広げ、世界中の企業およびAI開発者の高まるデータ需要に応えるために製品ポートフォリオを強化する目的で用いられる。

AI需要が広大な分散インフラの必要性を押し上げるなか、これらのトレンドと企業は今年、注目に値する存在となる。その中から、将来の巨人が生まれるかもしれない。来週はIPO市場と、それがFuturiom 50企業リストにとって何を意味し得るのかを取り上げる。

forbes.com 原文

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