小型化を押し進めながらバッテリー持ちも強化
筆者もwena Xの試作機に触れる機会を得た。wena Xは金属外装そのものを通信アンテナとする従来モデルの構造を継承しつつ、内部の空間効率を極限まで高めた。例えば有機ELディスプレイやバッテリーモジュールもカーブド形状のパーツを採用することで、手首に吸い付くようなフィット感を実現している。
リアルタイムOSをベースにした独自の「wena OS」を載せたことで、一般的なスマートウォッチの約1/4程度のバッテリー容量(80mAh)でありながら、最大1週間の連続駆動という充実のスタミナ性能も達成している。
生体センシングは3波長の光学式心拍センサーと高精度なアルゴリズムを掛け合わせて、心拍計測精度を従来の86.8%から93.3%に向上させている。さらに東大発のスリープテック企業「ACCELStars(アクセルスターズ)」と資本業務提携を結び、医科学研究に基づいたAI睡眠解析機能を搭載する。つまり前世代のモデルよりもスリープトラッキングの精度が大きく向上する。
NFC決済機能については、国際ブランドへの対応を予定している。加えて、指を弾く動作「フィンガースナップ」を用いたジェスチャー操作により、画面遷移や各機能へのアクセス、音楽再生などを直感的に制御できるハンズフリー機能も開発中だ。ChatGPTアプリへの対応を含め、デバイスがユーザーの手元に届く時期に合わせた実装を目指している。
2026年はwenaシリーズの販売開始から10年のアニバーサリーイヤーだ。節目の年に誕生するwena Xをベースにした「wena X 10th Special Edition」にも注目したい。
ケース全体をK9クリスタルガラスで構成したフルスケルトンのウォッチヘッドに、スイス製の新型機械式ムーブメント「SELITA SW200-2 S b Power+」を搭載する。フランスの老舗ジャン・ルソー製のレザーバンドを組み合わせた贅沢な限定モデルに、伝統的な時計工芸とデジタル技術が最高次元で融合した。wenaのこだわりをすべて盛り込んでいる。
身体能力の低下をテクノロジーで補完する
對馬氏はなぜソニーという大きな組織を離れ、あえて再出発という困難な挑戦にすべてを賭けたのだろうか。
「wenaは私が学生時代に考えたアイデアに基づくプロダクトであり、ソニーに入社後すぐに立ち上げた事業です。私にとって人生の一部であり、子どものように大切に育んできました。事業終了が決まった後にも、wenaを諦めきれないという思いを強く抱いていました」


