最初期の光ファイバードローンの飛行距離はせいぜい1.5〜3km程度だったが、その後急激に伸びている。10km、続いて20kmの光ファイバーリールを装備したものが普通になり、現在では双方が50kmのリールも使うようになっている。こうしたドローン用光ファイバーケーブルの一部は、中国アリババの国外向け通販サイトなどを通じて中国メーカーから直接購入されている。メーカー側にとっては、収益性の高い新たな市場になっているようだ。ロシア側の報告によると、需要と供給の法則に従い、光ファイバーケーブルの価格を最近およそ8倍に引き上げた中国系メーカーもあるという。
もっとも、光ファイバーが値上がりしても、光ファイバー通信のFPVドローンはなお、数十km離れた地点からの偵察や精密攻撃を数千ドルのコストで実行できる。
航空基地の対FPVドローン防御は難題に
動画の攻撃では被害は最小限にとどまったようだが、このドローンは妨害をまったく受けず飛び回っており、防御射撃などの対抗手段がとられた形跡もない。もし次の攻撃で、使用中の格納庫や駐機中の航空機、弾薬の集積場所などが発見された場合、結果はおそらく今回と大きく違ったものになるだろう。
小型FPVドローンに対する防御は難題だ。「シャヘド」のようなより大型のドローンであれば、レーダーや空中哨戒、ミサイル、短距離防空システムからなる多層防御で阻止し得るが、FPVドローンは、とくにきわめて低空を飛んでくる場合、探知するのがはるかに難しい。大方のレーダーは、小型ドローンを鳥や自転車と容易に区別できない。音響センサーは役立つ可能性があるものの、航空基地のように騒音の大きい環境では、ドローンのブーンという飛行音はジェットエンジンの音にかき消されてしまうかもしれない。
さらに、無線操縦のドローンなら通信を検知できる場合もあるが、光ファイバー型ではそれも不可能だ。
光ファイバー式FPVドローンによる攻撃に対抗するには、クワッドコプターのシグネチャー(特徴)を捕捉し、背景の雑音から識別するよう特別に訓練されたAIを備えた専用レーダーやカメラ、あるいはサーマルイメジャー(熱分布の画像化装置)が必要になると思われる。迎撃ドローンや、コンピューター制御の機関銃といった防御手段は、少数のドローンによる攻撃であれば阻止できるだろう。地上の警備部隊による散弾銃の発砲も、ある程度は有効かもしれない。だが、複数の方向からの大量のドローン攻撃の場合、対処は難しくなりそうだ。


