Groqは創業から7年間、何度も倒産の瀬戸際に立ちながら推論処理を追求
Groqは2016年、市場の多くがまだ意識していなかった「超高速の推論処理」を実現する企業として創業された。ロスは2024年のフォーブスの取材に「当社は何度も倒産しかけた。我々は少し早すぎたのかもしれない」と語っていた。
2023年、創業から7年が経過した時点で、Groqの売上高は300万ドル(約4億7400万円)にとどまり、損失は8800万ドル(約139億円)に達していた。2024年半ばには、評価額28億ドル(約4424億円)で6億4000万ドル(約1011億円)を調達したが、その時点でも売上は「依然としてごくわずかだった」と、2021年に初めて同社に投資したAlumni Venturesの最高投資責任者、マーク・エドワーズは述べている。
エヌビディアとの契約当時、Groqは当初の売上予測を大きく下回っていた
事情に詳しい2人の関係者によれば、エヌビディアとの契約が結ばれた頃のGroqの年間売上高は約1億ドルで、当初掲げていた2025年の売上見通しである20億ドル(約3160億円)、さらにその後下方修正した5億ドル(約790億円)を大きく下回っていた。同社の最大の顧客であり、最も注目度の高い契約の相手は、サウジアラビアの政府系ファンドだった。ロスは、Groqの状況について「順調だ」とし、「いくつかの目標は達成している」と述べ、複数の大口顧客とも交渉中だと明かしたが、2025年の売上についてはコメントを控えた。
エヌビディアとの契約に至るまでの数カ月前、ロスはサウジ関連の提携について公に強調し、それが同社に巨額の収益をもたらすと語っていた。「我々は15億ドル(約2370億円)を調達したわけではない。これは売上だ。実際には、OpenAIの売上の約30%に相当する規模だ」と、彼は1年前のポッドキャスト番組『20VC』で述べていた。
しかし、元社員の1人はフォーブスに対し、この数字は「今後構築されるサービス全体の累計価値」を指していたと説明する。この金額には、Groqのチップを収容するデータセンターの建設費やチップそのものの価値、さらにそれらのチップが生み出す計算能力の価値(期間は特定されていない)が含まれている可能性が高い。
サウジアラビアとの収益分配契約、エクイニクスとの提携ではGroqが顧客側
Groqのサウジアラビアとの契約(具体的には国営石油会社の技術子会社であるアラムコ・デジタルと結んだもの)は、3人の元社員によれば、収益分配型の契約として設計されていた。Groqは自社のAIチップを比較的低価格でアラムコに販売し、アラムコがそれらを収容するデータセンターの建設費を負担する。そして、チップが生み出す計算サービスから得られる収益を両者で分け合う仕組みだ。
一方、すべての同社の「提携」が、現金と製品を単純に交換するような分かりやすい取引だったわけではない。オーストラリアでデータセンターREITのエクイニクスと結んだ別の大型提携では、Groqの立場はむしろ顧客側だった。Groqは最大3億ドル(約474億円)を支払い、自社のLPUを設置するための施設をエクイニクスに提供してもらい、その上で自社のクラウド顧客にサービスを販売する仕組みだ。ある関係者はフォーブスに対し、「確かに資金のやり取りはあったが、それ以上にモノ同士の交換に近い側面も大きかった」と語っている。
こうした契約がエヌビディア傘下でどのように継続されているのか、エヌビディアとの交渉にどの程度影響していたのかは明らかになっていない。ロスは、Groqの独立した企業としての組織が引き続きサウジの顧客を支援しているという点に限っては関係していると述べた。
16日にエヌビディアが発表した統合システムには、Groqの第3世代チップが使われている。ロスによれば、開発が遅れていた第2世代チップはまだ本格展開に至っていなかったが、このチップのエヌビディアとの統合に同じくらいの時間がかかるのであれば、最初から第3世代で統合した方が合理的だと判断したという。
ロスは一貫して強気の姿勢を崩さず、エヌビディアとの提携を実現
逆風の中にあっても、ロスは一貫して強気の姿勢を崩さなかった。「Groqで最後までやり抜くつもりだった。世界の推論処理の半分を担う存在になりたいと、ずっと周囲に言ってきた」と、彼は当時を振り返る。
元社員の1人は、「Groqの目標は当初からエヌビディアと組むことだった」と語るが、ロス自身は当初、GroqのチップとエヌビディアのGPUがうまく統合できるか確信を持てていなかったという。「危うく実現しないところだった」と、彼は2025年末にフアンに提示した構想について振り返る。現在はエヌビディアの副社長を務めるマドラが、その実現を後押ししたという。結果的に、この提携はビジネス面でも企業文化の面でも理想的な組み合わせだったとロスは語っている。
エヌビディアとGroqのシステムは検証段階にあり、その実力を判断するには時期尚早
現在、この構想は実際の製品としての検証段階へと移りつつある。しかし、エヌビディアとGroqのシステム「LPX」は、Vera Rubinプラットフォームへのオプション統合という位置づけにとどまっている。まだ大規模運用には至っていないため、その実力を判断するには時期尚早だ。3月16日のGTC 2026でフアンは、このシステムが1ギガワットあたり年間3000億ドル(約47.4兆円)の収益を生み出す可能性があると述べ、GPUのワークロードの約25%がGroqのチップと連携するようになるとの見通しを示した。
エヌビディアに加わった当時を、ロスは「まるでお菓子屋に入った子どものようだった。突然、あらゆるものにアクセスできるようになった」と振り返った。


