米国時間3月18日に揃って値を下げた金と銀の価格は、約1カ月ぶりの安値水準にある。世界的な紛争時には貴金属価格が急騰するという従来の常識に反し、イラン攻撃が原油価格と米ドルの価格を押し上げたことで、貴金属には下落圧力がかかっている。
18日午後12時30分時点の金価格は約2.5%安の1オンスあたり約4886.70ドルをつけた。銀も同時点で約3%下落し、約77.40ドルとなっている。
金と銀はともに1カ月ぶりの安値を記録した。金が4900ドル、銀が76ドルを下回ったのは、2月18日が最後だった。
貴金属価格は2月下旬に始まったイラン攻撃以来、一貫して下落している。米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始する前日の2月27日には、金は5400ドル、銀は93ドルを突破していた。
金は6営業日連続で続落した。ブルームバーグの報道によれば、これは2024年以来で最長の続落記録だ。金は、記録的な価格上昇を経て1月には過去最高値を更新していた。
なぜ、イラン攻撃では貴金属価格が上昇しないのか
通常、金と銀の価格は国際的な紛争下では上昇するとされるが、3週間にわたるイラン攻撃の間、いずれの金属も上昇していない。サクデン・フィナンシャルのアナリストは18日、原油やエネルギー価格が急騰する中で、貴金属は「原油と負の相関関係」にあると指摘した。同社のアナリストらは、貴金属価格は「不安定な推移が続く」可能性が高いとした上で、「地政学的な不透明感から地金がいくらかの下支えを得る可能性はあるが、原油が主要な安全資産としての買いを吸収し続ける限り、その上昇は限定的だろう」と付け加えた。
利下げ期待の後退が貴金属価格を抑え込んでいる
原油価格はここ数週間で急騰しており、国際原油指標の北海ブレント先物は18日に5%急騰して109ドルを突破した。イラン攻撃の開始以来、40%以上の値上がりを記録している。ハイ・リッジ・フューチャーズの貴金属取引ディレクターを務めるデビッド・メガーが18日にロイターに語ったところによると、エネルギー価格の上昇はインフレ懸念を煽り、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待を後退させている。通常、利下げは金や銀の上昇要因であり、その期待の後退が貴金属価格を抑え込んでいるという。メガーは、金と銀には依然として安全資産としての需要があるものの、それを上回る他の下落圧力が価格の上昇を阻んでいると分析した。また、米ドルも強含んでおり、これも通常は貴金属に下落圧力をかける要因となる。
地政学的緊張と安全資産
過去には、戦争や国際的緊張によって金や銀が急騰した事例がある。2022年にロシアがウクライナに侵攻した後、金の価格は1年ぶりの高値まで跳ね上がった。今年初め、アナリストらは貴金属の歴史的な急騰の背景として、さまざまな世界的緊張を挙げた。1月に発生したベネズエラのニコラス・マドゥロ拘束、ドナルド・トランプ大統領による関税の導入、さらにトランプがグリーンランド併合への意欲を表明したことによる欧州と米国との摩擦などがその例だ。
金と銀の価格は、数カ月にわたる上昇を経て1月に過去最高値を記録した。そのピーク時には金は5600ドル、銀は120ドルを突破している。しかし、トランプが利下げに消極的と見なされるケビン・ウォーシュを次期FRB議長に指名すると発表した後、1月下旬に貴金属価格は暴落した。



