経営・戦略

2026.03.24 15:00

亡き娘に捧ぐ、マイアミの超人気デイクラブ「ニッキ・ビーチ」創業者が守り抜くレガシーと世界戦略

ジャック・ペンロッドとルシア・ペンロッド/2019年撮影(Photo by David M. Benett/Dave Benett/Getty Images for Nikki Beach Cannes)

その後、マイアミビーチ市は地域の再開発を進めるためジャックに協力を要請した。数年にわたる交渉を経て(ペンロッドもプロジェクトマネージャーとして関わった)、市はワン・オーシャン・ドライブに400万ドル(約6億3600万円)規模のクラブを建設するため、40年のリース契約を認めた。彼女は、「ペンロッズ・ビーチ・クラブ」として開業したこのクラブのマーケティングおよび広報責任者を務めた。

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2人はその過程で交際を始め、1995年に結婚した。さらに3年後には、「ニッキ・ビーチ」のコンセプトが軌道に乗り、サーファーなどの地元客に加えて、レオナルド・ディカプリオやマドンナ、ハリソン・フォードなどのセレブも訪れるようになった。

2002年までに夫妻の事業は拡大フェーズに入り、サントロペとサン・バルテルミー島に次の2つのビーチクラブを開業した。当時競合していたビーチクラブの多くは、家族経営の小規模な独立事業者だった。夫妻は、サントロペのパンプロンヌ・ビーチで海から少し内側に入った立地を選ぶことで出費を抑え、外部投資家に頼らず事業を拡大することができた。2008年にペンロッドは最高マーケティング責任者に就任し、その後10年間その職を務めた後、2018年に会長となった夫からCEO職を引き継いだ。

すべての拠点が成功したわけではない。マイアミのココナッツ・グローブのクラブは、短期間で閉鎖され、バルバドスやモンテネグロなどの拠点ではパートナーとの契約が終了した。しかし、ペンロッドは、閉鎖の判断も新規出店と同じくらい重要だと語る。「私が撤退したからといってブランドが大きく損なわれることはない。むしろ、ブランドを傷つけられるくらいなら自ら撤退する方がいい」と彼女は語る。

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競合ひしめくホスピタリティ業界

ペンロッドの大胆さは、激化する競争のなかで将来の成長を描くうえで大きな強みとなっている。成功したレストランが、より収益性の高いホテルやクラブといった分野へブランドを拡張しようとする動きが広がっているためだ。たとえばNobuは、世界に50以上のレストランと40以上のホテルを展開しており、バンコクやマドリード、モルディブでも新規開業を予定しているほか、20のレジデンスも手がけている。

また、コスタス・スピリアディスが率いるエスティアトリオ・ミロスのホスピタリティ事業も拡大しており、12のレストランに加えてホテルや、ギリシャではヨットのクルーズ事業「Milos at Sea」を展開している。一方、メジャー・フード・グループは「Carbone Miami」を運営し、マイアミ・デザイン地区では会員制クラブ「ZZ’s Club」を展開している。このクラブは、寿司のネタを毎日東京から空輸しており、初年度の会費は、3万ドル(約480万円)からとなっている。

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翻訳=上田裕資

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