「これほど前提が変わり続ける経営環境は、過去になく、経営本からも学ぶことはできません。技術のキャッチアップだけでは足りない。自社の強み、現場の暗黙知、そして経営の熱意を融合させることが不可欠です」
森は、AIが単体のテクノロジーとして存在するのではなく、組織文化や人材育成、そして企業の「意志」と接続して初めて意味を持つことを提起した。
トークセッションには森、ディアワンダー 代表取締役 CEO & CWO(Chief Wonder Officer)の前刀禎明(以下、前刀)、一般社団法人AIロボット協会(AIRoA)事務局長の岡田隆太朗(以下、岡田)、Forbes JAPAN 執行役員 Web編集長の谷本有香が登壇。
岡田が強調したのは、「暗黙知のデータ化」だ。
「フィジカルAI時代を勝ち抜くにはAIトレンドをキャッチアップするだけでは足りません。リアルなデータが、まだネットに上がっていない。操作データや動作データが圧倒的に不足しています」
フィジカルAIの進化には、現場で蓄積されてきた熟練の技や勘をいかに構造化し、共有基盤に載せられるかが鍵になるという。AIRoAでは数万時間の学習成果をもとにデータ基盤を今年公開予定だ。参加企業からのフィードバックを受けながらアップデートしていく構想を語った。
前刀はテクノロジー以前の、人間の創造性について持論を展開した。
スティーブ・ジョブズと共に歩んだ経験を持つ彼は、日本企業に見受けられる「様子見」の姿勢を危惧する。
「21年前にスティーブは『自分の心と直感に従う勇気を持て』と言いました。テクノロジーは目的ではない。どういう未来を創りたいのかという『クリエイティブデザイア(創造的欲求)』があってこそ、初めてAIは進化の方向を定めるのです」
さらに前刀は、アプリケーション『DEARWONDER+』のデモを交えながら、AIを通じて人が固定観念から解放され、「ヒラメキ、トキメキ、キラメキ」とともにセルフイノベーションを起こし続けることこそが、AIとともに未知を切り拓く原動力になると説いた。
技術が高度化すればするほど、それを使う「人間」の意志が問われる。今回のAI Executive Loungeを通じて一貫したテーマとなった。


