経済・社会

2026.03.18 08:39

97%の事件で携帯電話が決定的証拠に、法曹界に迫るデジタル対応の必然

AdobeStock

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Cellebriteの「2026 Industry Trends Report」によると、現在、捜査官の97%がスマートフォンをデジタル証拠の主要な情報源だと認識している。同レポートは63カ国の実務家1200人を調査した。2年前のこの数字は73%だった。まだ携帯電話の証拠に向き合う必要がなかった弁護士がいるなら、それを恒久的な状態ではなく、猶予期間だと捉えるべきだと勧めたい。

筆者は約20年にわたりデジタル・フォレンジック(デジタル鑑識)の検査官として活動してきたが、その流れは明白である。キャリア初期には、携帯電話が証拠として出てくることは珍しかった。いまでは、スマートフォンが事実関係の中心にない事件を最後に担当したのがいつだったか思い出せない。刑事弁護、検察、家事事件、雇用紛争、人身傷害、商事訴訟、保険金請求。分野は関係ない。証拠は電話の中に存在し、そのことを理解する弁護士は、理解しない弁護士に対して明確な優位を得る。

電話の中にしか存在しないもの

ここが、経験豊富な訴訟弁護士ですらつまずく点である。多くの弁護士は、携帯電話の証拠は通信事業者への召喚状や、アカウントレベルでのディスカバリー(証拠開示)要請で入手できると考えている。そして特定のデータ分類については、それは事実である。通信事業者は通話明細記録を提供でき、プラットフォーム提供者も、法的手続きに応じてアカウントデータを提出できる場合がある。しかし、訴訟で最も重要になり得る証拠のうち、相当かつ増加しつつある部分は、物理デバイスそのものにしか存在しない。

スマートフォンにローカル保存されているものを考えてみてほしい。暗号化されたメッセージングアプリのデータは、エンドツーエンド暗号化により提供者が内容へアクセスできない可能性があるため、そもそも提供者から入手できないことが多い。削除されたテキストメッセージ、写真、閲覧履歴は、クラウドバックアップに同期されていなかったとしても、端末ストレージから復元できる場合がある。OSおよび個々のアプリが生成する位置情報は、通信事業者の基地局記録が反映するものより、はるかに細かい場合がある。送信されなかった下書きメッセージ。メモ。ボイスメモ。ある時点で歩行中だったのか、運転中だったのか、静止していたのかを立証し得るヘルスケア/フィットネスデータ。意図や心理状態を示し得る検索履歴。

これらはいずれも、無線通信事業者への召喚状に対して提出される可能性は低い。標準的な文書提出要求で出てくることも通常はない。多くの場合、それらは電話の中にしか存在せず、端末が適切に保全され、適切に検査されなければ、その証拠は永久に失われる恐れがある。

筆者は、保全要請書を出すことが思い至らないまま端末が初期化されたり下取りに出されたりして、決定的になり得た証拠が、ただ消滅してしまった事件を扱ったことがある。

連邦最高裁はRiley v. Californiaでこのデータの深さを認め、電話には「生活の私密」が含まれ、捜索には令状が必要だと判断した。Carpenter v. United Statesは、この理屈を過去の基地局位置情報にまで拡張し、電話データがいかに高い精度で個人の移動を再構成できるかを認めた。両判決はいずれも、フォレンジック検査官が長年にわたり手続きの場で示してきたことを反映している。すなわち、1台の携帯電話が持つ証拠価値は、事件における他のすべてを合算したものを上回り得るということだ。

数字が示す方向性

これは米国だけの現象ではない。欧州委員会は、EU加盟国における刑事捜査のおよそ85%で電子証拠が関連すると推計している。この発見は、司法当局が国境を越えて直接デジタルデータを要請できる新たなe-evidence(電子証拠)規則の採用を促すほど重要だった。

FBIの2024年インターネット犯罪レポートは、85万9000件超の苦情により損失が166億ドルに上ったことを記録した。これは前年比33%増で、ほぼすべての苦情カテゴリーで、モバイル端末を経由する証拠が発生している。

民事側では、Cellebriteの民間部門に関する調査結果で、企業調査の66%にモバイルデータが登場していることが示された。またCellebriteのレポートは、捜査官の95%が、デジタル証拠は事件の解明可能性を大きく高めると認めていることも明らかにした。ただし、解明可能性は、必要なときに証拠が実際に利用できることが前提である。そしてそれは、保全、適時の取得、そして適切な検査にかかっている。

備えるべき時は、いま

同レポートは、実務家の94%が「複雑性が事件処理件数を圧迫している」と答えたこと、端末の半数超がロックされた状態で届くこと、さらに機関の3分の2がいまだにUSBドライブで証拠を持ち回っていることも示した。NIST(米国国立標準技術研究所)のモバイル端末フォレンジックに関するガイドラインは、証拠能力を担保するために取得方法とその限界を文書化することを求め、証拠保全の連鎖(chain of custody)も精査に耐えなければならない。要するに、携帯電話の証拠を適切に扱うことは、土壇場で即興できるものではない。計画、人間関係、そして少なくともプロセスの基礎理解が必要である。

弁護士にとって、それは次のような具体的行動を意味する。

  • ディスカバリーに入ってからではなく、必要になる前に有資格のフォレンジック検査官を見極めておくこと。優秀な人材は常に多忙である。
  • 保全についてチームを訓練すること。携帯電話に触れていない訴訟保全通知(litigation hold letter)は、2026年において不完全である。パラリーガルや若手弁護士は、モバイル端末が潜在的に関連性を持つと分かった時点で、適切に保全する方法を理解していなければならない。不適切な取り扱いは、データ消失、証拠毀損(spoliation)問題、あるいは相手方の専門家から手続き上の瑕疵を根拠に争われ得る証拠を招く。電話が関連性を持った瞬間から、そのデータが変化したり消えたりし始めるまでの猶予は、驚くほど短いことがある。
  • 提供者から取得できるものと、端末内にしか存在し得ないものの違いを理解すること。この区別が、ディスカバリー戦略、保全義務、そして相手方証拠の争点化や真正性の立証能力を左右する。

97%という数字は、携帯電話の証拠がもはや専門領域だけの論点ではないことを意味する。法的手続きに関わる者にとっての基礎能力である。この証拠の理解にいま投資し、人脈を築き、スタッフを訓練し、技術が示せるものと示せないものを学ぶ弁護士と事務所こそが、事件に携帯電話が出てきたときに備えができている。そして数字を見る限り、それは間もなく出てくる。

forbes.com 原文

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