ロイター通信によると、ウクライナの防衛産業はいまでは1000社を超える企業で構成され、全体の年間生産能力は額にして550億ドル(約8兆7000億円)あまりに達する。外国からの受注は、一段の規模拡大に向けた重要な資金源になると考えられる。米カリフォルニア大学サンディエゴ校のブラニスラフ・スランチェフ教授(政治学)は「防衛産業への発注に資金を出せばすぐに効果が表れるでしょう」と筆者の取材にコメントした。
ロシアによる全面侵攻が始まって以降、ウクライナの防衛産業基盤は驚異的なペースで拡大してきた。ウクライナ国防相顧問のハンナ・フウォーズジャルはドイツで2月に開かれたミュンヘン安全保障会議で、生産能力はざっと50倍に増え、年間500億ドル(約8兆円)規模に達したと語った。ウクライナ軍が必要とする兵器の半分以上が、いまでは国内メーカーから供給されるようになっているとも説明した。
米紙ニューヨーク・タイムズの3月11日の報道によると、ウクライナのドローン産業は低コストの組み立て中心の段階から、より高度な自給体制へと移行しつつある。一部のメーカーは、中国製部品をほとんど、あるいはまったく使わないドローンを生産するようになっている。同紙は、ウクライナ企業2社が米国防総省から契約に向けたコンペティションに招かれたことも伝えている。これは、実戦で鍛えられたウクライナの生産能力と、米国の調達への関心が結びつき始めている兆しである。
元米軍司令官のホッジスは、この戦争はウクライナを現代の軍事技術の実験場に変えたと言う。「純粋に技術的な観点から言えば、ウクライナはほかに類を見ない実験の場になっています」。ホッジスはそのうえで、西側企業はウクライナ企業と提携し、ウクライナ国内に生産ラインを設け、ウクライナの防衛産業に直接投資すべきだとの考えを示した。
外国の買い手にとって、ウクライナはもはやたんに西側の軍事援助を受けるだけの国ではない。ウクライナは、大量のドローン攻撃に対して、より安価で迅速に、そしてより柔軟に適応できる解決策を生み出す、防衛分野のイノベーターになりつつある。そのため、ウクライナの技術に対する需要はいまでは自国の国境をはるかに越えて広がってきている。


