テラファブが実際に解決しようとしている3つのこと
本物の戦略ロジックはシンプルで、より擁護しやすい。マスクは投資家に対し、テスラがFSD、サイバーキャブのロボタクシー車両群、オプティマスのヒューマノイドロボットを拡大するにつれ、3〜4年以内にチップ供給の制約が生じると予測していると語った。TSMCやサムスンからの外部供給は、世界中のハイパースケーラーやAI企業との争奪戦にさらされている。製造を自社に取り込むことで、この依存から脱却できる。
テラファブがうまくいけば、3つの具体的な優位性がもたらされる。第1に、供給の安定性だ。テスラ、スペースX、xAIは、マイクロソフト、グーグル、アマゾンとTSMCのキャパシティを奪い合う必要がなくなる。第2に、設計から生産までの最適化である。AI5チップをテスラのハードウェアの正確な熱性能要件に合わせて調整できる。第3に、長期的なコスト削減だ。250億ドル(約4兆円)の施設を年間数千億個のチップに償却することで、外部ファウンドリの価格を下回るチップ単価を実現できる。
これらは工場を建設する正当な理由である。「シャドークラウド」の物語やAWSなど他企業との比較がなくても、十分に説得力がある。
投資家にとっては、実行リスクこそがすべて
半導体業界はテラファブの発表に対し、関心と懐疑が入り混じった反応を示した。Tom's Hardwareは次の点を指摘した。マスクはインタビューで、半導体業界は「クリーンルームの設計アプローチを間違えているかもしれない」と主張し、建物全体を超清浄に保つのではなくウエハーを個別に隔離すべきだと提案した。これにより「チップ製造中にクリーンルームでチーズバーガーを食べられる」と述べた。Tom's Hardwareは、このようなアプローチのためにサプライチェーンを再構築するには「控えめにいっても数十年かかるだろう」と指摘した。
マスクはまた、自身の計画期間は1〜2年で、3年を超えることはめったにないと述べた。これは、起工から量産まで3〜5年を要する従来の半導体建設サイクルとは相容れない。
投資家は、テスラが実証してきたことに基づいて期待値を調整すべき
投資家にとって問題なのは、チップ製造の垂直統合に価値があるかどうかではない。それは明らかに価値がある。問題は、半導体製造の経験が皆無の企業が、2nmの工場をゼロから建設し、実用的な歩留まりを達成し、発表されたスケジュールに近いかたちで量産に到達できるかどうかである。バッテリー・デーとの正直な比較としていえば、テスラは最終的に4680の生産を達成し、懐疑論者が部分的に間違っていたことを証明した。しかし、当初の約束を信じて株を購入した人にとっては、そのスケジュールと規模は大いに失望させるものだったはずだ。
テラファブがバッテリー・デーのパターンをたどるなら、2030年には真に変革的なものとなりうるが、それまでの間は繰り返される期限の未達と減損処理の原因となる可能性がある。3月21日のイベントでどちらの道が有力かが明らかになるだろう。しかし投資家は、テスラが約束したことではなく、実証してきたことに基づいて期待値を調整すべきだ。


