Forbes JAPAN 2026年5月号は「『規律』ある投資」特集。世界的な金融緩和や地政学リスクの高まりを背景に、あらゆる資産が高騰してきた昨今。足元では中東情勢の緊迫化という火種も加わり、ボラティリティが激化するなかで、投資家が真に頼るべき羅針盤は何か。資本市場で勝ち続けるリーダーたちの生存戦略から大インフレ時代を生き抜く術を探った。
同号のカバーストーリーでは、Kaihouの井村俊哉、竹入敬蔵が、投資家界隈をざわつかせた「和製バークシャー宣言」の真意を告白。アクティブファンドへの投資助言で圧巻の成績を叩き出し、さらなる高次元へ。稀代の投資家たちは、自らが市場の一部となることで内側からも変革を起こしていく。
その「異変」は、突如として起きた。2月9日、東証スタンダード上場の地盤ネットホールディングス(以下、地盤ネット)。地盤調査・解析を主業とする時価総額50億円に満たないこの小型株に、市場取引後のPTS(私設取引システム)で膨大な買い注文が殺到。翌日からの市場取引では4日連続のストップ高を記録し、2月17日には一時1,500円台にまで急騰した。たった1週間で株価が約8倍に拡大し、売買高は3,232万株と2桁も膨れ上がる異常事態が起きたのだ。
主な要因は、2月9日の引け後に地盤ネットが出した適時開示である。そこには、著名投資家の井村俊哉、竹入敬蔵が共同代表を務めるKaihouが、株式譲渡を通じて地盤ネットの議決権31.18%を取得、事実上の筆頭株主になる旨が記されていた。
和製バークシャー宣言──。この適時開示の直後、Kaihouは自社HPに新たな経営方針を公表した。ウォーレン・バフェットが築き上げた米バークシャー・ハサウェイのように、上場企業を通じ自己勘定による割安上場株への投資を行うことが、自らの掲げる「ニッポンの家計に貢献し、ニッポンを解放する」という使命を達成するうえで理想的であると。地盤ネットが「和製バークシャー」を推進するための「器」に選ばれたことが示唆され、投資家たちの注目を一気に浴びることになったのだ。
ただ、熱狂を生み出した一方で、一部の投資家からはいぶかしむ声もあがった。和製バークシャーへの「期待と不安」。これを理解するには、Kaihouが既存の投資助言業で巻き起こした騒動について触れないわけにはいかないだろう。
1月24日、Kaihouは、投資助言を行う「fundnote日本株Kaihouファンド」の受益者に向けて、「腹割会」と名づけた報告会を開催した。そこで井村は、深刻な面持ちで運用会社fundnoteに対する不満を吐露。それに対してfundnoteは翌日、Kaihouとの溝をうかがわせるリリースを発表した。
「fundnote日本株Kaihouファンド」は投資家の間で「井村・竹入ファンド」と呼ばれ、募集開始前から注目を集めていた。なにせ、個人投資家として累積運用益100億円を叩き出した井村と、ゴールドマン・サックス証券などを経て専業投資家としても成功した竹入敬蔵という、稀代の「株の申し子」によるタッグである。同ファンドは人気が殺到して申し込み期間終了前に受付を停止。その期待に応えるように、25年1月の新規設定から約1年で、59.24%(26年1月30日基準)という驚異的なパフォーマンスを示していた。



