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2026.03.17 14:52

AIが人類を超える日──シンギュラリティは目前に

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コンピューター科学者でありSF作家でもあるヴァーナー・ヴィンジは、1980年代に「技術的特異点(Technological Singularity)」という用語を広め、1993年のエッセイ「来たるべき技術的特異点」で再びこの概念を提唱した。彼は、機械が人間の知能を超えた瞬間、急速に自己改良を重ね、我々には想像も予測もできない形で社会を変革すると主張した。まさに未来を見通していたのだ。

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AIの世界にどっぷり浸かっているわけでもなく、ましてやコア技術者でもない我々の多くにとって、この予測やシンギュラリティをめぐる議論は不可能、あるいは少なくとも起こりそうにないことのように思えた。しかし、2022年11月30日、OpenAIがGPT-3.5をリリースした。このリリースは、真に驚くべき出来事の始まりだった。つまり、ヴァーナー・ヴィンジが未来に見た現実が、現実になり始めたのである。

2022年11月以降、好むと好まざるとにかかわらず、世界全体が変わった。株式市場は新高値に急騰し、投資家と顧客の獲得を争っていたSaaS企業は急落、Nvidiaは時価総額5兆ドルに到達し、イーロン・マスクはxAIとSpaceXを統合して時価総額1兆2500億ドルの巨大企業を誕生させ、宇宙にデータセンターを構築しようとしている。そう、すべて本当の話だ。

以前Forbesでも書いたが、私の会社はAIMattersという名前だ。会社名を決めたとき未来を予見していたのか、それともこちらへ押し寄せる津波を見抜いた単なる幸運だったのかはわからない。いずれにせよ、この3年以上の間に、私は2社のユニコーン(評価額10億ドル以上のスタートアップ)に関わってきた。今日の兆ドル規模の巨大企業と比べれば取るに足らないかもしれないが、始まりではある。さらに、少なくともあと2社を立ち上げようとしている。私や他の人々の見立てが正しければ、我々は何千年にもわたる文字と画像の蓄積に基づく集合知を創造する瀬戸際にいる。AIの使い方次第で、我々全員がその恩恵を受けることも、受けられないこともあるだろう。

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我々は皆AI革命の一部であり、逃げ場はない

はっきり言っておきたいのは、AIは今日、我々の生活のあらゆる部分に影響を与えているということだ。例えば、私が関わるCEOたちは曜日や時間を問わず頻繁に電話をかけてきて、「今日やったことが信じられない!」と興奮気味に話す。Anthropic(Claude Codeの開発元)、OpenAI(ChatGPTの開発元)、Google(Gemini)といった企業の最新AIモデルを使った成果についてだ。

背景を説明すると、AIは何年もかけて着実に進化してきた。そして2025年のクリスマスから年末年始にかけて、新しいAIモデルが雪崩のようにリリースされ、驚異的な能力が解き放たれた。「速い」という言葉では言い表せない。これらのモデルは速いなどという次元を超えている。さらに重要なのは、これらのモデルによって、エンジニアやソフトウェア開発者だけでなく、文字通り誰でも——営業やマーケティングから人事、財務に至るまで——何をするか、どうやるか、どれだけ速くやるかを変えられるようになったことだ。本質的に、AIは我々が知る従来のソフトウェアだけでなく、知識労働そのものを飲み込みつつある。

4つの実例:AgentPress、HiveMQ、Axoniq、Anthropic

まず基本から始めよう。2025年の年末年始にリリースされた技術を活用している組織では、AIによってダッシュボードのコーディングを手作業で行うことなく新製品を提供できるようになっている。例えば、私のもとで働く最も先進的な技術者たちは今や、作りたいものを平易な英語で説明するだけで……それが出来上がるのだ。編集や修正が必要なコードの下書きではなく、完成したコードが出てくる。さらに、これらの新しいモデルは、どんなソフトウェア開発者よりも優れた品質で、より速く、しかもはるかに低コストで完成品を提供する。

AgentPress:AIが認知労働を代替する最も強力な例の1つがB2B営業だ。かつては、説得力のある顧客別ビジネスケースを作成するのに、数週間のコンサルティング作業と深い財務分析が必要だった。

カスタマーエクスペリエンス領域をターゲットにしたAI企業は数多く存在する——会話型ボット、サポート自動化、CXコパイロットなどだ。しかし欠けているのは、収益組織向けに特化したエージェントプラットフォームだ。営業担当者が価値を定量化し、より大きな案件を獲得し、顧客ライフサイクル全体でROIを証明するのを支援するものである。

それこそがAgentPressが埋めるギャップだ。他社がチケット処理や通話時間の最適化に注力する一方、AgentPressはあらゆる顧客接点で価値を売ることに一点集中している。同社の差別化製品は、AIによるビジネスケース作成の自動化だ。B2Bにおける最もレバレッジの効く課題は、質問により速く答えることではなく、案件承認を勝ち取る財務的根拠を営業担当者が構築できるよう支援することだからだ。

AgentPressのエージェントは数十万ものソースを統合し、データに裏付けられた顧客別ビジネスケースを数秒で生成する。これはかつて専任のバリューエンジニアリングチームを必要とし、四半期のトップ5案件にしか使えなかった機能だ。今やすべての商談で利用できる。

そしてエージェントはプリセールスにとどまらず、顧客ライフサイクル全体で稼働する:

  • プリセールスのビジネスケース作成
  • 導入後の展開計画
  • 契約更新・拡大時のROI正当化
  • マーケティングウェブサイト上のAI SDR

人間が戦略を立て、エージェントがリサーチを行い、ケースを構築し、インパクトを定量化する。定量化可能なROIに基づいて販売された案件は、一貫して35%大きく、成約率も大幅に高いことを考えると、すべての営業組織にとってその意味は計り知れない。

HiveMQAIの世界、特に産業用AIにおいて誰も認めたがらないことがある。ボトルネックはモデルではなく、データなのだ。

私がアドバイスしている企業でこの問題を常に目にする。AIを導入しても停滞する。技術が壊れているからではなく、それに供給されるデータがサイロ化され不完全だからだ。世界最高峰のAIモデルにゴミのようなインプットを与えたら何が得られるか? 世界最高峰のゴミが、これまで以上の速さで出てくるだけだ。

だからこそHiveMQはPulseを構築した。正直なところ、なぜこれまで誰もこの問題を解決しなかったのか不思議でならない。ほとんどの企業は生のオペレーションデータを収集し、下流に送り、後でクリーンアップする。一見問題なさそうだが、「後で」では今すぐ行動する必要があるAIには遅すぎるのだ。

HiveMQはすでに、BMW、イーライリリー、主要電力網など、最も要求の厳しいオペレーションのリアルタイムデータ基盤を運用している。これらは実験でもパイロットプログラムでもなく、ダウンタイムのコストが数百万ドル単位で計測され、失敗が一切許されないミッションクリティカルな環境だ。Pulseはその基盤の上に構築されている。

データの移動中に構造化と検証を行うことで、AIシステムに到達する時点では、すでにコンテキスト化され、ガバナンスが効き、即座にアクションを起こせる状態になっている。これこそが、ダッシュボードでレポートを生成するだけのAIと、物理世界で実際に仕事をする——自律的に、追跡可能に、安全に——AIとの違いだ。

集合知に向かう中で、これが何を意味するか考えてみてほしい。誰もがより優れたモデルの導入を競っている。勝つ企業は、より優れたモデルを持つだけでなく、その下により優れたデータ基盤を持つ企業だ。


AxoniqAI爆発を受けて、従来のシステムでは不十分だ。完全な履歴を保存せず、途中でデータを削除してしまうからだ。そのため、AIの使用と結果は予測不能で説明もできない。Axoniqは企業のモデルとビジネスシステムの間に位置する。これにより、各企業の暗黙的・明示的なビジネスロジックに固有の自己学習エンジンが生まれる。ログではない。システムの行動の背後にある「なぜ」だ。そこに到達するのに書き換えも専門の開発者も不要だ。開発者が実際に行うのは以下の通りだ:

  1. 接続(Connect)—ソースを選択:コードベース、データベース、ドキュメントなど。ドメイン用語集とビジネスルールを事前に設定する。
  2. 発見(Discover)—インスペクターエージェントを起動。すべてを並行してクロールし、ビジネスドメインのマップ——ワークフロー、イベント、依存関係——を返す。マップを確認し、エージェントとチャットし、精緻化する。
  3. 検証(Validate)—矛盾レポートを確認。エージェントが矛盾を指摘し、理由を説明し、解決策を提案する。何かが動く前にすべての決定がログに記録される。
  4. キャプチャ(Capture)—承認をクリック。キャプターエージェントがライブシステムにサイドカーとしてデプロイされ、即座にイベントの記録を開始する。ダウンタイムなし、マイグレーションなし。
  5. クエリ(Query)—インサイトエージェントを開き、平易な英語で質問を入力すると、完全なオペレーション履歴に基づいた回答が得られる。SQLもデータチームも不要。

結論:システムは最大129倍速く稼働し、すべてのAIエージェントはスナップショットではなく完全なオペレーション履歴で訓練され、リプレースも数カ月の導入期間も不要だ。企業が直面している問いは、「AIを使えるか?」ではない。「AIが正しいことをしたと証明できるか?」だ。Axoniqはその答えを「イエス」にするインフラ層を構築しており、それはAgentic Intelligence Mining(エージェント型インテリジェンスマイニング)と呼ばれている。

Anthropic:AnthropicのCEOは、AIが最近「コードの大部分」を同社で書いていると語っている。さらに、評価額3800億ドルでの最新ラウンドをクローズする中で、現在のAIモデルと次世代AIモデルの間のフィードバックループが「月ごとに勢いを増している」と述べている。最後に、現世代のAIが自律的に次世代を構築する時点まで「あと1〜2年かもしれない」と彼は言う。信じられるだろうか? 私は信じているし、その通りだと思う。

これはあなた、あなたの会社、あなたの投資にとって何を意味するのか?

業界で先行している人々——実際に実験し、導入し、毎日大規模にAIを使っている人々——は勝つ。大きく勝つ。「なぜか?」と思うだろう。彼らは、個人、チーム、企業、そしてやがては業界全体、さらには国家によって活用される真の集合知の夜明けを目撃していることを理解しているからだ。

今、あなたは「バリーは大げさだ」と思っているかもしれない。しかし、考え直してほしい。証拠として、METRという組織がある。新興AIモデルの生産性を測定しており、ホッケースティック効果は文字通り右肩上がりだ。個人でも組織でも、私はこのような生産性成長チャートを見たことがない。これは、シリコンと回路でできた機械と、化学と生物学で構成された人間との力の差だ。言い換えれば、人類はAIが登場するまで、この惑星で最も生産性の高い種の1つだった(以前の記事を参照)。

すべての仕事はAIに(そしてやがてロボティクスに)飲み込まれる

これは過去の自動化の波とは異なる。理由は以下の通りだ:AIは特定のスキル1つを置き換えるのではない。あらゆる業界のあらゆる職種におけるすべての認知スキルの汎用的な代替エージェントなのだ。さらに、我々の生活のあらゆる側面で知識労働を行う能力が、飛躍的に速く、優れ、安価になっている。

いくつかの業界とAIの影響を見てみよう:

  • ソフトウェア。上述の通り、製品開発とエンジニアリングの大部分はすでに包囲されている。単純なタスクだけでなく、複雑な数日がかりのプロジェクトもだ。
  • 法務。AIは複雑な契約書を読み、判例法を要約し、準備書面を起草し、ジュニアアソシエイト、やがてはシニアアソシエイトやジュニアパートナーに匹敵するレベルで法的調査を行える。
  • 財務。AIは高度な財務モデルを構築し、データを分析し、投資メモを書き、レポートを生成し、CEOからの株主向けレターを作成できる。
  • 医療。AIはCTやMRIスキャンを読み、検査結果を分析し、文献をレビューしながら診断を推奨できる。今日、AIは医師と患者の両方が医学的・心理学的アドバイスについて考え、受け取る手助けさえしている。
  • マーケティング/営業。毎日、AIエージェント——単なるチャットボットではなく——が導入され、顧客、営業担当者、パートナーのために複雑な複数ステップのGTM課題を、以前のコストの何分の一かで処理している。

AIが「本当に良くなっているのか」「壁にぶつかっているのか」という1年以上続いてきた議論は終わった。決着がついた。そして上記は氷山の一角に過ぎない。Anthropicは最近、AIの理論的な市場機会に関する研究を発表したが、その内容は衝撃的だ。AIはいずれ知識経済を飲み込むと述べている。恐ろしいことだ。

AIで成功を確実にするには?

AIおよびSaaS企業の経営、リーダーシップ、取締役会への参加という私の立場から見て、AIで成功を確実にする方法は3つある:

  • 人材(People):組織内で働くエージェントの数が従業員と同じくらいおり、エージェントから得られるレバレッジによって生産性の指数関数的な成長とコスト削減を実現している。これはすべて測定可能であり、ROIは実在する。
  • 製品(Products):製品がAIネイティブである。つまり、製品・エンジニアリングリーダーがますます参照枠を設定し、コーディングエージェントに作業を任せている。上記の人材と同様に、人間とエージェントが開発するコードの量を測定できる。
  • パフォーマンス(Performance):SaaS指標はAI KPIとは異なる。今日のAI企業は、より速く成長し、より価値が高く(売上高に対する倍率)、古いSaaS企業よりもMagicやRule of 40の比率が優れている。100%成長は最低限のスタートラインだ。さらに、優れたAI企業は売上高の約50倍で取引されるが、優れたSaaS企業はその5分の1だ。

投資家は上記のすべてを知っている。証拠:すべてのVC投資の75%以上がAIネイティブ企業に吸い上げられており、少なくとも現時点では、世界の他の企業にはほとんど、あるいはまったく成長資本が残されていない。今やあなたもそれを知った。

融合の未来は想像以上に近い

20年前、私はWikiと5000人の「コントリビューター」を組織し、『We Are Smarter Than Me: How to Unleash the Power of Crowds in Your Business(私たちは私より賢い:ビジネスで群衆の力を解き放つ方法)』という本を共同執筆した。この本は、ソーシャルネットワークと個人のチームを活用することで、企業がより良い意思決定、収益性の向上、売上増加、業務改善を達成するために活用できる集合知が生まれると主張した。私がまったく見ていなかった、想像すらしていなかったのは、いつか機械が我々の知識、言葉、画像、経験のすべてを活用して、今日のAIの現実を生み出すということだった。5000人の人々やWikipediaのすべてのコントリビューターなど忘れてほしい。それは今日のAIという巨象の上の小さなシラミに過ぎない。

AIが登場した今、それはワクワクすると同時に恐ろしいものでもある。いずれにせよ、AIの魔神は瓶から出てしまい、後戻りはできない。我々は人間とAIの融合、すなわちシンギュラリティの瀬戸際にいる。AIがスピード、スケール、知識において我々を凌駕する中で、我々が正しいことをすることを願おう。そしてこれは、ロボティクス(我々の物理的な表現)の時代が始まる前の話だ。

結論:我々は地球上に新しい種を解き放った。そのように捉える必要がある。その事実を受け入れれば、この新しい現実と共存し、恩恵を受ける方法を見出せるだろう。

forbes.com 原文

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