海外

2026.03.22 17:00

【30UNDER30は今】スタバ創業者が認めた33歳の起業家、食料品の宅配で売上800億円規模に

2022年10月3日、「2022年フォーブス30アンダー30サミット」に出席したMisfits Market 創業者兼CEOのアビ・ラメシュ(Photo by Taylor Hill/Getty Images)

パンデミックで注文が400%増、その反動と競合買収を経て事業基盤を強化

事業を始めてまだ1年余りのタイミングでパンデミックが発生すると、注文は一気に流れ込み、400%増に達した。その急増は事業の処理能力を超え、ラメシュは2020年4月から5月にかけて新規顧客のウェイトリストの受付を停止せざるを得なかった。フェイスブックでの広告も中止した。

advertisement

それでも同年末までに、Misfitsの売上は前年比352%増の年間1億6000万ドル(約254億円)超に拡大した。ラメシュは2020年6月のシリーズBラウンドで、シカゴのValor Equity Partnersをはじめ、Greenoaks、Third Kind Venture Capital、Alarko Ventures、Sound Venturesから8500万ドル(約135億円)を調達した。

パンデミックが続いた2021年も売上の拡大は続き、年間売上は約40%増の2億2300万ドル(約355億円)に達した。この追い風の中で、ラメシュは2021年4月に2億ドル(約318億円)、同年9月に2億2500万ドル(約358億円)と、短期間で2回の資金調達を実施した。

ワクチン普及で外食が戻り注文規模も縮小、2022年の成長率は32%に

しかし、その後は「反動」が訪れたと彼は明かす。ワクチンの普及に伴い、米国の消費者は自宅での食事中心の生活から外食へと戻ったためだ。注文規模(1回あたりの注文量・金額)は縮小し、一部の会員は離脱した。ロイヤルティプログラムや自社ブランド「Odds & Ends」を導入したMisfitsの売上は伸びたものの、2022年の成長率は32%という穏やかな水準にとどまった。

advertisement

「異常なほど高い需要に慣れてしまい、その前提でインフラを整備した。しかしロックダウンが終われば、需要は一気に平均的な水準へ戻った」とラメシュは語る。

それでもラメシュは、事業がときに課題に直面するものであることを理解している。「起業家が落ち込みに直面したときに意欲を失い、疲弊してしまえば、そのまま行き詰まり、最終的に撤退することになる」と彼は言う。

資金が尽きかけたスタートアップを株式交換で買収、自社配送への切り替えを決断

そして実際に、それは競合企業に起きた。2022年半ばまでに、カリフォルニア州のImperfect Foodsは、資金が尽きかけていた。共同創業者のベン・チェスラーは、ラメシュの2年前にあたる2018年、フォーブス『Forbes 30 Under 30』のフード&ドリンク部門に選出されていた。従業員数が1800人の同社は、計3億1500万ドルを調達し、トラック450台と3カ所の倉庫を抱えていた。

Misfitsは2022年後半、株式交換によってImperfectを買収した。ラメシュはその過程で、Imperfectの優れた手法も積極的に取り入れた。たとえば、それまでFedExやUPSに依存していた配送を見直し、Imperfectと同様に自社配送へと切り替えた。これにより、品質は向上し、返金は減り、顧客の定着率も高まった。「顧客体験をコントロールできるなら、そのためのインフラ投資には十分な価値がある」とラメシュは語る。

Misfitsは、Imperfectがリースしていたロサンゼルスの約8500平方メートルの倉庫や、メリーランド州ボルチモアの約1万700平方メートルの倉庫を引き継いだ。その結果、同社は現在メリーランド州に本社を置いている(本社機能は全米に分散しており、フィラデルフィアとニューヨークに人員を集中させている)。

全米の物流インフラを活用した受注処理を柱に、売上高約1272億円規模の達成を見据える

拡充したインフラを背景に、Misfitsは他の生鮮食品関連企業向けの受注処理も手がけるようになった。その物流スペースは現在、全米で合計50万平方フィート超を超える。同社はGoPuff(これまで55億ドル[約8745億円]を調達し、評価額は85億ドル[約1.4兆円])といったスタートアップをはじめ、ベビーフードブランドのLittle Spoon、ペットフードブランドのSmallsなどの食品注文処理を担っている。

競合が広告費を削減する中、2026年にマーケティング費用の倍増を計画

ラメシュによれば、この2年間で顧客獲得コストは半減し、投じたマーケティング費用を数四半期以内に回収できるようになったという。それでも同社は2025年、マーケティング支出を約20%増やしており、2026年にはこれを倍増させる計画だ。多くの競合が収益化を優先して広告費を削減する中、ラメシュは逆の戦略を取る。「スタートアップは1度その顧客基盤を失うと、取り戻せなくなるからだ」と彼は言う。

中西部や南部への展開を優先、価格の手頃さを維持しつつ事業拡大を狙う

中西部や南部への展開も重要なテーマだ。ラメシュは、「数年以内に売上高8億ドル(約1272億円)、その先には年間10億ドル(約1590億円)規模への成長が見込める」と語る。その実現に向けた鍵の1つが、価格の手頃さを維持することだという。

「食料品業界では、この100年で本質的なイノベーションがほとんど起きていない」とラメシュは語る。「仕入れや購買の方法から、物流拠点の設計、そして顧客の自宅までの配送のあり方に至るまで、すべてを見直す余地がある」と続けた。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事