従来型スーパーや上場企業を上回る、粗利益率40%超を実現する仕組み
フルフィルメント事業は、社内で最も成長が速く、粗利益率も最も高い。このことが、同社全体の粗利益率の押し上げにつながっている。Misfitsの粗利益率は2025年末時点で40%を超え、従来型のスーパーマーケットチェーンの約20%を上回っている。つまり同社は、伝統的な食品小売だけでなく、ペットフード販売サイトのChewyのような上場マーケットプレイス企業(粗利益率約30%)と比べても、より高い粗利益率を実現している。Chewyは、生鮮・非生鮮の両方を宅配するオンライン市場という点で、Misfitsに最も近い上場企業だ。
利益率が低い業界こそ参入の余地があり、イノベーションを起こせる
Misfitsの顧客は、近所のスーパーで買い物をする場合と比べて、10%から50%安く商品を購入できている。
ラメシュによれば、食料品業界の構造を変えようとする起業家は、彼以外にほとんどいないという。彼はまた、そこから意外な教訓を得たと語る。「利益率が低い業界こそ、ビジネスを築くにはむしろ適している。難しい分野ほど誰も参入しようとしないし、うまくいかないと考えられているからだ。その結果、イノベーションが生まれにくい。だからこそ参入の余地があり、業界の構造を一変させることもできる。もしそれをやり遂げれば、その先にはより大きなリターンが待っている」。
上場を最終目標に掲げ黒字化より健全な成長を優先、成長に向けた投資を続ける
ラメシュの最終的な目標は、Misfitsをインスタカートやドアダッシュのように上場企業にすることだ。同社は2021年のシリーズCラウンドで、評価額20億ドル(約3180億円)で2億2500万ドル(約358億円)を調達して以降、外部投資家から新たなエクイティ調達を行っていない。これまでの調達の内訳は、エクイティが計5億2500万ドル(約835億円)、既存投資家からのデット(借り入れ)が6500万ドル(約103億円)に上る。
フォーブスは、ここ数年の市場環境の変化を踏まえ、同社の現在の評価額を約10億ドル(約1590億円)と見積もっている(同社は、再び資金調達を行えば評価額は20億ドル[約3180億円]を上回る可能性があるとしている)。また、約20%の株式を保有する最大の個人株主であるラメシュの資産は、少なくとも2億ドル(約318億円)と推定される。
初期のアマゾンと同様に、Misfitsはまだ黒字化していないが、ラメシュは「短期的な利益よりも健全な成長を優先することに問題はない」と語る。同社は長期を見据えた投資を続けており、その一例として冷蔵・冷凍トラック350台の保有が挙げられる。
尿病やがん患者向けの食品ボックスにも展開、2025年に売上約9億5000万円に到達
また事業領域の拡大も進めており、糖尿病やがん患者向けに最適化された食品ボックスを外部の企業と連携して販売している。米国では保険制度や公的医療プログラムが食事改善を予防医療として支援しており、同社はこの仕組みを活用した患者向け食品ボックスも展開している。この部門の売上は2025年に600万ドル(約9億5000万円)に達した。


